開かずの扉
開ける必要がなかったと言うのが正直な所で、父も何が入っているかよく知らないと言う。
蔵自体は相当昔から建っており、使われていない事もあってか解体する事となり
帰省したこの機会に開けてしまおうというものだ。
一緒に帰っていた妹がが蔵の前を通るとすぐ開けたい!とごねていたが、
到着が遅かったこともあり開けるのは後日となった。
しかし、ふと気が付くとあれだけ騒いでいた妹の姿が見当たらず、実家の中を探してもどこにもいなかった。
こんな山奥の田舎に出かける場所もないのでまさかと思い、おそるおそる蔵へ様子を見に行くと
蔵の扉は開いており、中から話し声のようなものが聞こえる。
「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」
俺が扉の中に入るとピタっと止まり、こちらを振り向いた妹の目は
まるで血を塗った様に真っ赤だった。
冷たい表情をしたそのモノはこちらを見つめると
「アタラシイ イレモノ」・・・。
妹だったものと周りの化け物がゆっくりとこちらに近づいてくるのだが、体が動かない!!
このままだと俺も化け物に・・・。そう思った瞬間
「そこまでだ」
聞いたことのある声、寺生まれで霊感の強いTさんだ!
「破ぁ!!!」
するとTさんの両手から青白い光弾が飛びだし、妹をを包み込んだかと思うと
Tさんの呪文によって部屋全体にに光が走り、あっと言う間に化け物は全滅した。
「なんでTさんがここにいるんですか?」
「ちょっと鍋の材料にイノシシと山菜を獲りにな。まぁずいぶん小物がかかっちまったがな・・・」
そう呟いてタバコに火をつけるTさん。
寺生まれってスゲェ・・・その時改めてそう思った。
呪文
入力なし