女心と秋の空
街の風景はもう秋で彩られていた。ほんの数日前まで夏物の薄着を着ていた人たちも今では秋物の長袖や重ね着をしている人が多く見られる。秋服は薄着でも厚着でもないからかオシャレに着こなしている人が多く、見ているだけでも楽しくなってくる。
そういう私の今日のコーディネートは押入れにあった去年まで着ていた秋物服だった。急に涼しくなって今年の服をまだ買いに行けてないというのもあるけど、悲しい事に去年からあまり発育していない私の身体は去年までの秋物服を問題なく着れてしまったのだった。
ただ、自分の発育の悪さは特別悲観していない。むしろこの体型を維持したいと思っている。もちろん出るところは出ている女性らしいスタイルにも憧れるけど、そういうスタイルの人は服装のコーディネートの幅が狭まってしまいやすい。私みたいなぺちゃんこな体型だからこそ似合うコーディネートもあるし、ボンキュッボンな体型にも似合うコーディネートもある。
かわいい感じのコーディネートもセクシーな感じのコーディネートも楽しみたい。それが私の気持ち。セクシーになりたいなら詰め物でもすればいい。今だって胸にパッド入れてるし。
でもスタイルのいい人が少女のようなかわいい服を着てもなかなか着こなせないと思う。さっき黒い服を着た胸とお尻のすごい大きい人とすれ違ったけど、その人が例えば私のこの服を着てもたぶん似合わないはず。
ナルシストだと思われるけど、私は私のこの身体が好き。成長期だからいつかは女性らしく膨らむのかもしれないけど今の内に色んなコーディネートを試したいと思ってる。だから今日はとてもワクワクしている。
今日は友達と待ち合わせをして、ハロウィンに向けて仮装するための衣装を探しに来たのだ。その後は今年の秋物服の新作も見て回る予定だからすごく楽しみ♪
待ち合わせ場所が見えてきた。早く来たつもりだったけどみんな集まっているので私が最後だったみたい。向こうも私に気付いたようで手を振っている。早く合流して色んな服を見に行きたい。そんな思いから自然と早足になっていた。
視界が切り替わり、歩を止める。キョロキョロと周りを見渡すと1軒のショーウィンドウのある店があり、その前へと向かう。そこには今年の秋物コーデを着せられたマネキンと、ショーウィンドウに薄っすら反射して映っているアタシが見えた。
白いシャツの上にオレンジ色のカーディガンを羽織っていて、デニムのミニスカートを履いている茶髪のポニーテールの女の子。間違いない、これはアタシよ。
自分の身体を自分の手で触って確認する。分かってはいたけど女性らしい膨らみがほぼ無かったし、胸に関してはパッドが入っていた。その代わり全身が若さに満ち溢れている。それだけでも満足のいく身体だった。
ショーウィンドウの前で頬を紅潮させながらニヤついた顔で身体を触ったりポーズを取ったりしていたら女の子のグループが近付いてきた。
『ちょっと!みんなで今年の秋物コーデ見に行くんでしょ?楽しみだったのは分かるけど1人で抜けがけしないでよ』
この身体の記憶を辿ってみる。この子達はアタシの友達で、今日はみんなでハロウィンの仮装衣装を探しに来たのね。…くだらない。服なんて着られればなんだっていいでしょ?結局男なんて服の下にある身体が目当てなんだから。
「ごめんごめん。ところで服探しなんて今日はやめてみんなでどこか遊びに行かない?ハロウィン衣装も秋物コーデも去年の使えばいいでしょ?アタシ達かわいいんだし、ボーリング場とかなら男引っかけられるかもよ♡」
『え!?オシャレ好きのあんたの口からそんな事言うなんてどうしたの?』
「女心と秋の空って言うでしょ?女は心が変わりやすいのよ。あなた達も気を付けなさい、知らない間に自分の心が変えられちゃうかもしれないから♪」
『ふーん…よく分かんないけど、まあうちらは遊べればなんでもいいんだけどさ』
「じゃあ決まりね♪ボーリング場でナンパ待ちしましょ♡」
アタシはニヤリと笑みをこぼし、若い女の子グループの1人となった。そしてアタシの心の中で降り続いていた雨は止み、秋晴れのように澄み渡った。
呪文
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イラストの呪文(プロンプト)
イラストの呪文(ネガティブプロンプト)
- Steps 70
- Scale 8
- Seed 318746895
- Sampler DPM++ 2M SDE Karras
- Strength 0
- Noise 1
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