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遥か未来。
朽ちた果てた舞台で その者は歪に歌舞いていた。
観客はおろか 誰一人としていない廃国の劇場で...。

人口の減少が加速し 物事のほとんどが自動人形(オートマタ)に転化した日本。
先進国として栄えていた時代の見る影は無く 他国との差は明白であった。
辛うじて国としての形があり 内情は機械化・自動化を極めた他国の実験都市と化している。

そこから時は進み 地球に住む人間が少数になり ほとんどの国や都市が放棄された時代。
既に日本という国は無く 世界の歴史に刻まれた過去になっていた。
そして最後に残ったモノは 日本の文芸と文化。
今も尚 形を変え 僅かにそれらが残っていたのだ。

自動人形は文芸を保存し続け 演目が終わる事は無い。
国が亡くなろうと 人が消え去ろうと 舞台が壊れようと...。
そのカラクリが完全に停止するまで歌舞伎は終幕しない。

ただ一つ 奇妙な事が浮上する。
何故 動力源がなく 機能を失った国の劇場で 歌舞き続ける事ができるのだろうか...?

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