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かつて、とある村があった。
村はとても貧しく。
毎年飢えにより亡くなる者が出るありさま。

しかし、この村にはたった一つ大きな特徴があった。
それは、とても美人と評判の姉妹が居たことである。
この者達は日を同じく産まれた…今で言う三つ子であろうか。
姉妹はとても仲が良く、ささえあって慎ましくも幸せに暮らしておったと言う。

そんな村であったが、ある年大きな事件が起こった。
黒い嵐が畑の物を皆くらいつくしてしまったのだ。
これでは餓死者が出るところの騒ぎではない。
それこそ村が滅んでしまう。
もう一つ問題があった、この村だけではない。
地域一帯から食べるものが消えたのだ。
すぐに争いが起こる。

困った村の物は竜神様に頼み込んだ。
我らの村から出せるものであれば何でも差し出そう。
その代わり我らの村を救って下さいと。

これに困ったのは竜神である。
人の世に関わってはならぬと彼らの主からきつく言われているからだ。
ならば断ってしまえば良いかと言うとそう言うわけにもいかぬ。
彼の子供達はかねてより村に住む姉妹を狙っていたのだ…
これ幸いと既に娘達をさらってしまっていた。

竜神は困った。
主の命に従うべきか。
だが、今更娘達を返すわけにもいかぬ。
傷物にした上でそんな仕打ちをしたとあっては竜神一族の名を汚す。
プライドの高い竜族にはとても耐えられぬし。
彼の息子達も到底納得がいかぬ。

では主の命を破るか?
これでは我らは逆賊となってしまう。
大抵のものが襲ってこようが返り討ちにする自信はあるが。
主に本気になられてはかの猿神でも呼ばれてしまう。
流石にかの猿神には勝てぬ。
かつて我が一族も壊滅しかけたのだ。

つんでいる…
どうしようもない状況である。
たかが人間などのためになぜこんなに悩まねばならぬのか。

かれは今回問題をややこしくした息子達に全てを放り投げた。
きさまら、娘が欲しいのであれば人間どもに結納の品をくれてやれ。
この程度なら人の世に関わったうちにも入らぬであろうと。
逆に結納の品を送らぬ方が不義理であろうと言い張ることも出来る。
仮に問題になっても息子を切れば良いだけだ。
竜は子が多い。
優秀とは言え惜しくはない。

一番上の兄は富と繁栄の力を持っている。
彼は村にわずかばかりの金を与えた。
もちろん人間にすれば見たこともない財宝であるが…

次の兄は破壊と勝利の力を持つ。
彼は村人に自身のはえかわった爪を与えた。
どうせ捨てるものであるし、彼にとってはどうでもよいものである。
しかし、その爪で作った剣は村に勝利をもたらす。
財宝を狙った者達のことごとくをその剣は打ち破った。

最後の弟は自然の力と優しさで有名であった。
彼は村の上流を自分の住みかとした。
妻に故郷のそばで過ごす安らぎを与え。
自身の力が流れ出る川下に住む村に食らい尽くせぬほどの食物をもたらす。

それに怒ったのは主である。
結納…確かに理屈は通るかもしれぬ。
しかし、神の材を例え欠片とは言えくれてやったのは問題だと一番上の兄と娘を連れ去った。

お主が払った財は人が数万人は人生を過ごせる金である。
ならば、お主は竜が数万人人生を過ごせる金を稼ぐまで許さぬ。

また、地獄の門番もまた怒った。
地獄に逝くはずのものが大きくかわり、地獄の役人は寝ることも出来ぬと。
次の兄と娘を連れ去った。

おぬしが変えた者達の血筋が全て絶え失せるまで地獄の者を運ぶ足となれ。
その全てを地獄に運び終えるまではけして許さぬ。

最後に残った弟に怒ったのは竜神である。
惜しくはないとは言え優秀な兄二人を失い残ったのはたいして力を持たぬ弟。
やはり良いきはしない。

おぬしは人の世で生きるが良い。
竜の世界へと帰ることまかりならぬ。
元より同じ母から産まれしおぬしら3人、はじめから無かったものとして扱う。
お主の顔を見たら優秀な兄を思い出してしまう。
それならいっそお主もいらぬ。

村はやがて栄え、この地を統一する国を築くが。
やがて歴史に埋もれてしまった。

かくして運命にもてあそばれた姉妹は永遠の生と美を与えられるも、心よりの笑みを失ってしまったのだった。
それでも、そのどこか憂いを帯びた美しさは夫である竜を離さぬ。

捨てられることも許されぬ彼女らに出来ることは祈ることのみ。
いつかまた出会える日を信じて…



よし、新しいツール練習してたら良い感じのが出来たから適当に話を作ってみたw
うん、読み直しも推敲もしてないけど…
正直チェックしにくい…

呪文

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