【エルフの森を守れ】禁忌魔法『スピリット・ボム』
ちょっと趣旨から外れるかもしれませんが、私の方のファンタジー世界におけるエルフ必殺の魔法……でありながら、絶対に使ってはならない禁忌の魔法をご紹介。
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スピリット・ボムは、簒奪戦争期(統一暦1720~30年代)にエルヴェンタリア皇国(エルフ族の国)において開発・使用された(戦争後期には人間族も使用)極めて破壊的な魔法である。
開発背景としては、当初エルヴェンタリア皇国はごく短期間で終了すると思われていた戦争が膠着状態に入り、消耗戦の様相を期してきたことに起因する。戦況の打開を望んだエルヴェンタリア皇国の魔法議会は、古代魔法の技術であった「マナ共鳴増幅術」から着想を得て、「周囲のマナを積極的に吸収して集中させる」というアプローチを行いました。
そうして新規開発された魔法『スピリット・ボム』は、比較的容易に習得が可能でありながら絶大な威力を持つ戦闘用魔法として類を見ない傑作として誕生したのです。
初回使用時である「ソーンリッジの戦い」でエルヴェンタリア皇国軍第13魔導連隊が使用した際には、一瞬で1個連隊に相当する兵士が消滅するという衝撃的な成功を収めました。
この衝撃的な成功により、スピリット・ボムは「エルフ族の切り札」として位置づけられ、その後も使用が相次ぎました。
無論、人間族もこの驚異的な魔法に対して最大限の対策を実施し、それによって簒奪戦争の中期にアステリア連邦軍(人間族の国)の特殊部隊が、スピリット・ボムの使用準備をしていたエルフの魔法部隊を奇襲し、詠唱者と技術文書を鹵獲することに成功したのです。
人間族の魔法研究者たちは、捕獲した情報を基に驚くべき速さでスピリット・ボムの複製に成功しました。その習得の容易さが、皮肉にもエルフにとっての悲劇となりました。
戦争の後期、両陣営はスピリット・ボムの使用を急速に拡大しました。エルフは人間の使用に対抗するため、当初の使用制限を完全に放棄。人間は数的優位を活かし、複数の前線で同時にスピリット・ボムを使用し始めました。
これは、開発過程で懸念されていた「使用後の周辺マナの減少」を著しく加速させる結果となり、各地で通常魔法の機能不全や植物や動物の変調が発生するとともに、小規模な生態系崩壊などの現象が観察されるようになりました。
最終的にはスピリット・ボムの乱用による環境劣化と両陣営の戦力消耗が極限に達したことで、皮肉にも講和への道を開かれることになりました。これにより、現在のニドヴァル大陸は慢性的なマナ不足に陥ったため、高位魔法の行使が大きく制限されることとなります。
スピリット・ボムの悲劇的結末は、エルフ族の文化に深い内省をもたらしました。伝統的に「マナとの調和」を重視してきたエルフ族が、戦争の圧力の下で自らの原則を放棄し、搾取的な魔法に頼ったことは、多くのエルフにとって苦い教訓となっています。
現在(統一暦1820年代)のエルヴェンタリア皇国では、スピリット・ボムの開発と使用は「マナの大罪」として位置づけられ、魔法教育においては警告的事例として教えられているほか、国際条約で使用が固く禁じられています。
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一時の戦果に惑わされず、長期的な視点で森を守りましょう。
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