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小さな街の図書館にカフェスペースが併設されている。
 「喫茶店」という看板は掛かっているが、客はほとんどいない。図書館から少し歩けば流行りのコーヒーショップに行けるし、「図書館で借りた本を読みながら食事をしないで」という注意書きがあるせいかもしれない。ただ、僕は木漏れ日が差し込むこの場所のことを気に入っていた。
 店員はいない。台所へ続いているであろう商品の受け渡し口に料金を置くと、ややあって小さな手が覗き、コーヒーの入った紙コップをこちらへ押し出してくる。ありがとうございます、と聞こえるか細い声は女の子のものだろう。珈琲はいつも少し薄いし、サービスも何もあったものではないが、破格に安くて空いている。ぼぅっとして過ごすのに適切な場所だった。
 そんなある日、僕は唐突に彼女から声をかけられた。
 受け渡し口に向けて、いつもありがとうと意味もなく感謝の言葉を口にした時だった。四角く空いた窓の向こうに少女が顔を出し、「すみません」と控えめに呼び止められたのだ。
 台所から出てきた彼女ーー高校生くらいだろうか?ーーの言葉は滞りがちで、ぼそぼそして、時々何を話しているのかよくわからなかったが、ともかく彼女が現状のコーヒーに満足していないらしいということは理解した。もっと上手く淹れるために練習したい、味見をしてくれる人がほしい、できればラテアートなんかも試してみたい、と一気に噴出するように話して、「すみません」と今度は同じ言葉を謝罪の意味で使っていた。
 そういうわけで、僕は彼女のコーヒーの練習に付き合うことになったのだ。



※小説やタイトルはAI生成ではなく自分で考えてます☺️

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