いつもの朝、2人
僕の前をスタスタと足早に歩いていくユキさんを、小走りで追いかける。
「まったく、毎朝私が迎えに来ないと遅刻するんだから!いい加減時間通りに起きなさいよねー」
そう言いながら眩しい笑顔を投げかけてくるので、怒っているのか機嫌がいいのか分からない。
ユキさんと僕は、いわゆる幼馴染だ。
一つ年上のユキさんは、小学生の頃からほぼ毎日僕の家まで迎えにきて、学校まで一緒に行ってくれる。それが当たり前なので、なんとも思っていなかった。
クラスの友達には「毎朝あんな美人と登校できて羨ましい」「そのうちバチが当たるぞ」なんて言われるけど、自分にとっては姉のような存在なので、なにか特別だと思ったこともない。毎朝の会話も、家族のことだとか、友達のことだとか、とくに変わり映えのしない内容だ。
でもユキさんはどう思ってるんだろう。
なんで毎日、僕なんかと一緒に学校に行ってくれるんだろう。
「ねえユキさん」
「ちゃんと春野先輩って呼びなさい」
「じゃあユキ先輩」
「もういいわ……なに?」
「いや、ありがたいんだけどさ。なんで毎朝起こしてくれるの?」
「なんでって、私が起こさなかったらあなた毎日遅刻するじゃない」
「いや、そういうことじゃなくて…」
「あ、もしかして恥ずかしいとか?クラスの女子に何か言われた?嫌だったらやめるけど?」
「そんなんじゃないって!今さら恥ずかしいとかないし。ただ、毎朝僕なんかと一緒に学校まで歩いて、ユキさんは楽しいのかなって」
僕の質問には答えずに、ユキさんはただ意味深な笑顔をこちらに向けるだけだ。
そうこうしているうちに、学校に着いてしまった。
ユキさんのクラスは2階、自分は1階なので階段の下で手を振って別れる。
「じゃあ放課後、部活でね。今日はパート練だから、厳しくいくからねー!」
そう言いながらユキさんは軽やかなステップで階段を登っていく。そして踊り場で立ち止まると、
見上げる僕を振り返って言った。
「楽しくなかったら、毎日迎えに行かないでしょ?」
はにかんだように少し笑うと、スカートを翻し、ユキさんは颯爽と2階へと消えていった。
彼女の言葉が頭の中でぐるぐると回って、僕はしばらく踊り場を見つめたまま動けなかった。
呪文
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2件のコメント
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ユキさんカワイイヤッター٩( ''ω'' )و
4枚目のポージングがお茶目で大変良きです(*´ω`*)
何枚か試すうちに偶然出てきたポーズで、可愛かったので採用しました笑
たまに意図しないお茶目さが出るのもまた良いですよね☺️
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