36000いいねありがとう
前回、三万五千の駅で、僕は「物語は終わらせようとするたびに、続きたがるものだ」なんて、ちょっと作家ぶった口調で語っていた。あの時の僕に教えてあげたい。ほら、やっぱり続いたよ、と。物語はページを閉じる準備をしている時ほど、ページをめくる音が心地よく響くものだ。
また電車の例えを出すのも芸がないけれど、許してほしい。駅の名前が変わるたびに、僕は「じゃあ、もうひと駅だけ」と言い訳を重ねて、つい旅を続けてしまう。見知らぬ誰かが窓越しに手を振ってくれるたび、その理由も聞かずに、ただ「ありがとう」と思ってしまう。
数字は、画面の片隅で静かに並んでいるだけなのに、不思議とそこに「あなた」が見える。会ったことも、言葉を交わしたこともない、けれど確かに存在する「あなた」が。
三万六千。それは、いくつもの「ありがとう」の結晶だ。そしてきっと、次の駅名も、もうすぐ見えてくる。そう予感している自分がいる。きっと、またこの席に戻ってきて、同じように言葉を紡ぐのだろう。
だって、伏線は張った。あとは回収するだけだ。
今日も、ありがとう。
呪文
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