前回:魔法と科学の邂逅
https://www.chichi-pui.com/posts/b0214654-dbc4-46d5-96d5-ba318c20e8d7/ 双方衝撃的かつ刺激的な出会いとなった初会合から数日後、広場に呼び出されたフェンテスの外交官たちは再びセントレイクの魔法力に驚愕する。
「どうじゃ使者殿⁈メガトン級のコンテナとやらを作ってみたぞ!」
フェンテスから進呈したタブレットPCを抱え、ドヤ顔の魔女たちの頭上には立方体の水の塊が浮かぶ。
「この『タブレット』とやらのように画像を映すことも可能じゃ!」
(これは、魔法力の根源に触れた気がするな…
想像力、いや妄想力と言うべきか、彼女たちはイメージを具現化する力に長けているのだ。
タブレットPCからも情報を得ているようだし、我々は想像力を喚起する創造の翼を与えてしまったかも知れんな…)
フェンテスのベテラン外交官は、フェンテス人らしく状況からセントレイクの魔法力を理論的に理解しようとする。
一方、若い外交官が身体を震わせながら口を開く。
「無駄なことを…」
魔女が眉をひそめる。
「なんじゃと?おぬし、いま何と言ったのじゃ?」
「前回説明したとおり、魔法に頼らなくともフェンテスの技術力で水は運べる!既に取水システムも着工している。貴国はただ水源を提供すればよいのだ!それをこんなバカげたマジックショーに呼び出されて…」
(あー、これは自身の論理的思考を超えた体験の連続でパニックが怒りに変わっちゃったんだな…まったく困ったものだ)
ベテラン外交官が慌てて取りなす。
「いやいや、失礼いたしました。この若者が言いたかったのは、貴国の魔法力にはより適切な使いどころがある筈と…」
「だまらっしゃい…」
「え…あの…」
「徹夜で編み出した我らの魔法をバカにするなー‼︎」
涙目で怒る魔女が若い外交官に水の塊をぶつけると、彼は軽く溺れてしまう。
「ゲホゲホッ!何をするか、この暴れ魔女!」
「うるさいうるさーい!貴国の欲しがるセントレイクの水じゃ!ありがたく受け取ったらよかろう!」
それこそ非建設的な口論に明け暮れる2人を尻目に寄り集まる両国のベテラン外交官たち
(セ:セントレイク、フェ:フェンテス)
フェ「いやいや、我々は何を見せられているんでしょうな…」
セ「貴国の外交官殿への無礼、平にご容赦ください。しかし、これは痴話喧嘩から戦争ですかな…それは馬鹿げている」
セントレイク外交官の目がチラリと光る。
フェンテスの外交官が若い2人を見やる
フェ「…魔女殿は朝からタブレットを抱えたままですな」
セ「ほ、さすがですな。お気づきでしたか。貴国の青年外交官からの贈り物をたいそう気に入られて…」
セントレイク外交官の顔がほころぶ。
セ「今朝も張り切っておめかししておりました」
フェ「今朝は一段とお綺麗でしたな。まったく一言ほめておけば良かったのにねー…まだまだ精神修養が足らぬようで困ったものです」
セ「精神修養というよりは、あちらのご経験でしょうなー。それは我が国の魔女たちも同様でして…努力の方向性も間違っていたようですなー…」
苦笑するベテラン外交官たち。
フェ「まったく貴殿の仰る通りで…ところで、昨夜のワインは美味でした。セントレイクの葡萄は滋味ですな」
セ「もし宜しければ今夜もまた…」
フェ「ありがたい。平和であればこそ両国の美食を楽しめるというものです」
セ「そうですな。平和であればこそ、ですな」
ベテラン外交官たちは既に今夜のメニューに想いを馳せていた。
両国が手を取り合い世界を救う日は…おそらく近い(はず)
下記参考にさせて頂きました。
404 notfound様の「取水システム着工」
https://www.chichi-pui.com/posts/47c8efbb-2a18-45db-89ba-d5d6bb027487/