ただいま、ふるさと。/スマホ壁紙アーカイブ
あの日飛び出したこの町は、小さくて、眩しくて、窮屈で、でも本当は誰よりも私を待ってくれていた場所だった。
夕陽が沈む路地裏、風に揺れる電線、どこかから漂う晩ごはんの匂い。
変わらない景色の中で、ひとつだけ変わったのは私の心。
夕陽に向かって私はそっと声にする。
ただいま──。
手に持つバッグの重さよりも、胸の奥の懐かしさの方がずっと重い。
幼い頃友達と走り回ったこの道も、初めて恋をした日に見上げた夕陽も、今は優しく彼女を迎えてくれる。
海に沈む太陽が最後の一筋まで彼女の影を伸ばしながら、おかえり、とささやいてくれた。
呪文
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1件のコメント
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海と港町との距離感がどこかほっとする感覚を抱かせてくれますわー、田舎の表現が見事ですぜ、細部のディティールの組み合わせなのかと勉強になります
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