-鬼-そこに棲むもの
その為、密偵の中でも隊長格は妖術に耐性のある精霊適性の高い経験豊富な者をあてがう事となる。
-シラクレナ西部:シオン藩僻地西端-
先に探索している斥候から、平地にある屋敷が一軒のみで、周辺には伏兵も何もいない事が分かった。
密偵A「んー・・・、こんな西端に住んでるなんて正直ちょっと変わり者ですよね。
見た所斥候の報告にあった通り男一人と女が二人のみ。屋敷自体は立派ですし、ちょっと拘束して話聞いてみます?」
隊長「・・・・。」
密偵A「隊長?」
振り返るとこわばった顔で目を見開いたまま、固まる隊長がそこにはいた。
密偵A「ちょっとどうしたんですか、隊ちょ」
着物の女「まぁ!あなたはちゃんと見えるのね・・・素敵!」
遥か先で中央に佇んでいたはずの女がにこやかに手を合わせながら真後ろから声をかける。
着物の女「ここは一人でとっても寂しかったの。あなたとは出来るだけ長くゆっくりお話したいわ。」
一同がざわつく中、精霊適性の高い隊長のみが理解していた。今日、ここで死ぬことに。
――――シラクレナ:西部シオン藩 調査報告書
密偵5、斥候2計7名:帰還者0
シラクレナ国は元々は3つの藩に分かれており、西部はシオン藩と呼ばれておりここでもそれに従う。
西の「シオン藩」は妖術や隠密行動を得意とする半妖や獣人といった亜人たちの藩であり、人間族は他の2藩と比べ少ない傾向にある。
好戦的な部分が多い半面、種族全体ではなく一部において友好的な住民も存在する。
また、シオン藩においても私たちと同じように「声」が聞こえ、それが神狐のお告げとされ現在の状況になっていると思われる。
以上の情報については随時、定時報告を受けていたものである。
しかしシオン藩西端については経験豊富な部隊をあてがった上での結果を重く捉え、
今後そちらについては関与しないものとする。
以上
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