空想。墜星の軌跡。-ロムの記録
空から大きな機塊が墜落したらしい。
それは宇宙ステーションで、空の遥か彼方から落下してきたものだという。
すれ違う人々の間から、「神の繭」という言葉が漏れ聞こえた。
曰く、それは災い。またある人は、間もなく目覚める、等と言っていた。
それが生命であるのか、あるいは自然災害のようなものなのか、私にはよく分からなかった。
一つ確かなのは、それがそこにあるということ。
これだけの大勢が口にしていること。そうそう嘘であるわけが……いや、可能性としてはある。
人間というものは、簡単に噂を膨らませてしまうものだ。
信じるか信じないかは、己自身で決めなければならない。
ただ、私の心が信じてみたいと好奇に揺れる。博士の仕業だろうか。
気の向くままに旅する博士ならば、きっと噂に誘われるがまま、信じるか信じないか以前にそこへ向かうのだろう。
博士の代わりである私がそこに行きたいと感じるのも、きっとそのせいに違いない。
我ながら非合理的な思考をしているなと失笑する。
だが、私は博士の後継であり「旅人」なのだ。
未知を探求し、その果てに何が持っているのか観測する。そして私はそれを記録する。
いつか遠い時空の果てで、どこの誰とも知れぬ者に見出され、それをもって私という存在が確立する。
「だから、私は描かなくては」
博士に託されたスケッチブックを一瞥する。
旅の前、シェルターの中で必死に描いた小さな品々。
旅に出て描いた、植物に風景、瓦礫の山に何かの痕跡。
見るに耐えない線の塊が少しずつ確かな形を得ていく様子を見ていると、それは「私」が固まっていく過程に思えた。
きっと博士は、これを見たかったのだろう。
夏色深い青空。
私の目には、堕ちていく眩い光が見えていた。
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