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百年の平和国家・フェンテスーー

衝突領域ヒノイからの攻撃はやまない。
度重なる降伏勧告に応じる気配もなく、ヒノイからは若く戦い慣れした異能者たちが送り込まれてくる。

フェンテスの隔絶した技術力により、ひとまずは防衛ラインを築くことに成功したが、戦況は徐々に劣勢へと傾いていた。
理由は、ヒノイの若者が操る理論上不可能な能力にはない。
その程度、学習と成長を続ける人工知能たちは数秒で対応して対抗防衛策を組み上げる。

しかしそれを操る最後の意志決定ーーその瞬間、平和に慣れた心は反応が遅れる。戦いを知らない身体は動作が鈍る。

その僅かな遅延は、ヒノイの若者たちの俊敏な攻撃の餌食となった。

フェンテスの人工知能は計算を続ける。
セーフティのかかった平和な人工知能と、戦いを知らない国民では対応できないこの状況。
それならばーー「戦い」を知る人工知能を、復活させれば良いのではないか?

そうだ、百年以上前、まだフェンテスに「戦い」があった頃……
その「戦う」性質故に、宿主の制御に頻繁に逆らったという古代人工知能があった。
戦いの終結と平和宣言と共に、すべての接続を切られて匣に封じられたという。

"あれ"を受け容れた兵士を作れば……
戦いを楽しむ「災厄」か、戦いを終わらせる「希望」か、少なくともそのどちらかは手に入るだろう。

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