神待ち通りにて (1)
飲食店はすでに大半が閉まっており、せいぜいが牛丼屋かラーメン屋くらいしか空いてない。味気ないコンビニ飯よりは幾分マシだろう、と店に入ろうとしたところで、後ろから声をかけられる。
「ねえねえ、そこのお兄さん」
「……ん?」
幻聴かと思ったが、どうやら違うらしい。声の主は明確に俺に向かって話しかけてきていた。
そこにいたのは一人の少女だった。ラフなTシャツにダメージ加工の入ったデニムのショートパンツという出で立ち。白く脱色したロングヘアは、いかにも遊んでますーといった印象を受けた。小麦色の肌と青い目は生来のものらしく、外人とのハーフっぽい雰囲気を感じさせる。
この辺は治安も悪く、彼女みたいに深夜にたむろしている若者が多い。それこそ、路地を一本裏に入ったところには、いわゆる「神待ち」の女の子がずらりと並んでいるのだという。
呪文
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