ふみだす一歩 (AI Remastered)
「――朋くんっ」
「うわっ!?」
耳元で声がして、急に現実へ引き戻される。いつの間にか、歩は俺の隣に立っていた。
「わ、悪い。ちょっと考えごと、を……」
そこまで言って、俺は先の言葉を失った。
地元の夏祭りへ遊びに行くのは、この季節の恒例行事だ。浴衣姿の歩を見るのなんて、別に初めてのことじゃない。
歩は、いつも下ろしている髪を高く結い上げていた。
たったそれだけのことだというのに、俺には歩がまるで別人のように大人びて見える。
「歩、その髪……」
「う、うん。お母さんに結ってもらったの。変……かな?」
いつもは髪で隠れたうなじを所在なさげに触りながら、おずおずと上目遣いでこちらの様子を窺う。どこか庇護欲を誘う小動物めいた表情は、俺が知ってる歩のものだった。
呪文
入力なし