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「これで満足かしら?」

使用したAI Stable Diffusion
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「あの時、助けていただいた黒鷺です」

突然の訪問客は、こんなことを、至極真面目な顔をして、言うのだった。
まるで、本当に、自分が黒鷺でもあるかのように。

僕は、一瞬、呆気に取られてしまったが、それは、彼女の素っ頓狂な発言だけが理由ではなかった。おそらく、彼女が何を言おうと、僕は、同じような反応をしただろう。

恥ずかしながら、僕は、こんなに綺麗な人を初めて見た。

艶のある黒い髪、滑らかな白雪の肌、濁りのない澄んだ瞳。

そうして、しばらく、彼女の顔をじっと見つめてしまった。

「信じてもらえないとは思うのですが……」

彼女は、僕の無遠慮な視線を、疑いの目だと捉えたらしい。

「黒鷺ですか……」

とりあえず、そう返事はしたものの、もはや、そんなことなどに興味はなかった。ただ、彼女が少しでもここにいてくれたら、ということだけが、僕の望みだった。

「ええ。罠にかかった私を、あなた様はお助けになられました」

あなた様……。今まで、そんな風に呼ばれたことが一度でもあっただろうか。

「覚えておいででしょうか?」

「あのう? 覚えておいでですか?」

「ああ、うん。覚えてるよ」

そうは言ったが、確かな記憶があるわけではなかった。ただ、夜中に、悲痛な声があがるのを耳にして、様子を見に行くと、鷺だか鶴だか知らないが、罠にかかっていたので、それを外してやったようなことは、覚えている。それが、彼女だったとでも言うのだろうか。

「左様でございますか。ああ! 良かった」

彼女は、眩い笑顔を見せて、そう言うと、両手で、僕の手をぎゅっと握った。

「その節は、本当にありがとうございました。やっと、お礼ができます」

僕は本能的に、彼女の両手から逃れたい衝動に駆られた。そうでなければ、僕の心臓が飛び跳ねて、気が抜けてしまうと思ったのだ。いや、笑わないで欲しい。これほどの美人に、手を強く握られてみるんだ。その慎ましやかな細い腕が、君の体の方に迫り、硬いものしか知らない、君の両手を、柔らかな彼女の手のひらが、暖かく包み込むんだ。正気でいられるはずがない。

「私ができることなら、何でもします。お礼させてください」

今、“なんでも”と言ったか? 僕の聞き間違いだろうか?

「今、なんと?」

「ええ。ですから、お礼させてください。私ができることなら、何でもします、と言いました」

どうしたものか。これほどの美人に、自分の望みを叶えてもらえるだと。

僕の脳内は、瞬時に、恥ずかしげもなく、妄想を爆発させた。

そうして、僕の口に、こう言わせるのだった。

「服を脱いでください」

僕の言葉を受けて、彼女の顔は、見る見るうちに険しい表情に変わった。

しかし、ここまで来たら、引き下がるわけにはいかない。

「お願いです。僕、女性の体を見たことがないんです」

彼女は、視線を下に落とし、深く思い悩んでいる様子だったが、踏ん切りがついたのか、俯きながらこう言った。

「ええ。私は……恩を返しに来たのです……」

それはまるで、自分に言い聞かせているようでもあった。

彼女は、顔を赤らめながら、そろりそろり、と衣服を脱ぎ始めた。

衣服といっても、黒いローブのようなものを一枚まとっているだけで、腰に巻いたベルトや、胸部にあるボタンを外せば、簡単に、脱げてしまえた。

彼女は、服を脱ぐ所作さえも、丁寧で、気品があり、つい見惚れてしまった。

そして、とうとう、彼女の体を覆っていた、黒のローブが、床に落ち、白い素肌を露わにした、下着姿の彼女が、そこにはいた。

恥じらっているのか、下着をしているのにも関わらず、右手で胸部を、左手で下腹部を、覆い隠している。

「これで、よろしいでしょうか……?」

何かを恐れるように、上目遣いでそう言う彼女を見て、僕はとてもいじらしく感じた。

彼女のためにも、これで満足した方が良いのかもしれない。一度はそうも思ったが、僕は、迸る欲望に抗うことができなかった。

「腋を……」

彼女は、鋭い目つきで、僕を直視したまま、ゆっくりと、両の手を頭の後ろに回して、こう言うのだった。

呪文

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