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アークの謡③

使用したAI Dalle
─────────────────────────────────
ほほを叩かれてレミールは目を覚ました。

大噴火に巻き込まれたザルグアードは
散り散りになって全員息絶えてもおかしくなかったが、
どこかに辿り着いて助けられたらしい。

ソルパ思想には、死後の世界は無い。
死後の世界と生者の世界はおなじものであり、エルエアロウの循環の中にどちらもある。
目が覚めれば、それが生きている証拠であった。

「イドゥダシャノウ?

「え?」

「カイル イドゥーザ厶 ヴァージュ ウェ シャスティー クノア?
(私の言葉を、誰か分かるものはいるか?)

「あぁ、セ、セクード
セクードラソ・・・
イヨール ダール フィララ シュトーティースクム フタル・・・」
(はい、はいでも僕たちは色々な者の集まりなので・・・)

レミールのあとに続くものたちを見てロダ族は
「あなたはこれから大変な苦労をするでしょうね」といった

レミールは少し顰め面をして

「アンテ ゾ シャー、ラソ
デッテ ゾ シェー」
(見ればわかる、だが やればできる)

と言った。

ロダ族は「ダル エ」(よろしい)と言って付いてくるように促した。

───
───
案内されたのは洞であった。

そこには、石やら木っ端やら、積み重なった泥のような塊が置かれていて
ロダ族はそれをしきりに覗き込んでいる。

はるか昔にラスファーンが噴火したあと、何が起きたか
ソルパがどんな動きをして、それがどんな結果につながるか
環境が自然遺物の中に残した【アーク】を読み解いているのだと言った。

アークとは、因果のうち 果 について記録したものだ。
因果を表す言葉として、予言とその成就のことをリジンゲニアという。
これはリジニア教の影響が強く、この時代にはまだ無い言葉だ。
もっと単純に 原因と結果 と言うならば
アン アー 
という言い方がある。

アンは見る アーは見えるという意味で、これだけだと訳がわからないが

アンを 照らす と訳せば
【照らせば見える】
となって意味が通る。

ラスファーンの噴火を アン とすれば
その影響や結果を アー と表現できる。

アークとはそうした、過去の噴火に対する エルエアロウ(あまねく循環)の反応や応答である
アー について記されているから 
【アーク】 なのである。

そのアークから、これから何が起きるかを読み取ったものを
教えてくれるという。

正直言ってレミールにはわけが分からなかった。

分からなければ謡(うた)にして覚えよと言われたので
カタバンチという男を連れてきて、てきとうに節をつけさせた。

数日を費やして できた謡がこれである。
───────────
フラルトラ ザースシー アーク
ジンテ レーム

スエイ スエイ
ヘールキュラ ウェ ティー
サーン パスフォーティ
ドヌ スタルニ ゴー
モールマヤ ルースシー
ヘールキュラ レネ イショーク
ビヨーム ケ ブリョーム レ ウース
バルキス オム シェー
フィロル シク チファー
スエイ スエイ
───────────
山の神に残されしアーク 
これから起こることを告げる

すぐに すぐに
冬が来る
灰が広がり
空は闇となる
太陽の力は隠され
長い冬が来る
草木と獣は去り
飢えが広がり
人は相争う
すぐに すぐに
───────────

フラルとは、直訳すると 神の だが、山の という意味で使われており、ましてやフラール人のことではない。
イサイザの言葉には単語動詞の上下関係があり、ラル(神)はラス(山)の上位にあたるので、
しばしば畏怖を込めた山の意味で用いられる。

言葉のわからないものでも覚えられるようにつくった謡なのだから、山と言えばいいように思うが
そうしないところにロダ族の信仰がある。

---
ここに留まっている間に、ロダ族の不思議な力によって病気の者は気が晴れ、脚の悪い者は歩けるようにしてもらえた。
それから、ラスファーンの南に送り出された。
あれがどこだったのか、振り返っても分からなかった。

ザルグアードは謡を口ずさみながら、放浪を続けた。

呪文

入力なし

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