化け狐は妖術を使わない
ご興味があれば前回からご覧くだされば~~。あ、前回はR-15になってますけど。
https://www.chichi-pui.com/posts/2374348d-7dd4-4ae5-a08a-18803394bb00/
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その日、私は彼女に妖術が扱えるのかを聞いていた。
そもそも狐が人間の姿に似せた状態を保っている化け狐という存在。
これまで必要が無いから特に問うこともなかったが、お祭りで幻術を使ったのかと訝しんだことから妙に気になり、ついに聞くことにしたのだった。
「儂はきちんと妖術を学んだことがないから基本的なものしか知らない。それも一時期関わった眷属狐の見よう見まねでしかなくてな」
彼女は周囲を確認するように見回した。
「ここなら周りに人もおらんし、いいだろう。少し離れろ」
そう言って何がしかの文言を唱え始めた。
「これが唯一まともに扱える――扱えた妖術」
彼女の手から禍々しい紫色の塊が生み出されて宙に浮いた。
あれに触れてはいけない、本能が警告を発して首筋がぞわぞわする。
「その反応は間違いではないが、儂が作ったのはただの『氷』だよ。ふふ、これでも昔はもっと綺麗な氷をつくれたんだ」
自虐的な笑みを浮かべながら自らが生み出した塊を掴む。
「呪いが体内に溜まりすぎて術に混じってしまうらしい」
彼女がその氷とも呪の塊ともつかないそれを憎らし気に石畳の地面に叩きつけると、硬質な音を立てて砕ける。
やがて破片は気化して紫煙となり、夏の夜の生ぬるい風に散った。
私は自分から切り出した手前、どう言ったら良いかわからず立ち尽くしていたが、やがて彼女は、ふい、と歩き出して宿へと入っていった。
煙を目で追っていた時の彼女が少し寂しそうに見えたのは気のせいではあるまい。
だからもう、あまり術は使いたくない。
背中越しに小さく、そう聞こえたからだ。
彼女は枯葉と書いて『こよう』と自称している化け狐。
本名を知っているのは百年以上前に親交があった古狐達と稲荷大神様だけです。
彼女は長い年月、呪い憑きや怨霊の類を祓い消滅させてきた反動で呪いに全身を蝕まれています。
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#華燦風鈴企画四連弾① 華燦風鈴様ユーザ主催企画参加分です。
枯葉様は氷使いということではないですが基本的な氷と炎の妖術は一応扱えます。
上述の通り、本人が使いたがらない為、そういうシーンが出ることはめったにないかな~。
こちらの化け狐のシリーズは #廃神社のはぐれ狐 タグで纏めています。
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呪文
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