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真理の地にて【the cursed ones】

使用したAI その他
魔王を討伐した俺たち勇者一行は魔王城の最奥にある扉を発見する。
魔王が最期に残した言葉。
『―――勇者よ。その扉には決して踏み入ってはならぬ。そこには世界の真理が在る。我々はそれを表に出さぬ様に守護していたに過ぎないのだ。よいか勇者よ。選ばれし者よ。決してそこに踏み入るな』

世界の真理?
そこに何があるというのか。
俺たちは協議の結果、その扉の先を調査する事にした。扉を開けまずは勇者の俺が先頭となりゆっくりと歩を進める。
その瞬間、目の前の空間がぐにゃりと歪む。
「――ッ!テレポーターかっ!」
俺は咄嗟に振り返り後続の仲間を強引に突き飛ばす。その刹那、俺は光の渦に巻き込まれ異空間へ飲まれていった。


異空間の先は赤黒い大地と血の様に赤い湖の世界。湖のほとりには1人の少女がただずんでいる。

「…おや?ここに来てしまったんだね?」
少女は俺に気付くと少し驚いた様で瞳をぱちくりさせた。
「…ここは何処なんだ?」
俺は警戒しながら少女に尋ねる。
「…真理の地、だよ…」


「少し…昔話をしようか」
状況が呑み込めていない俺に少女が微笑む。
「むかしむかし…とある王国の物語。そこにはとてもとても可愛いお姫様がいました。ある夜の事、そのお姫様は夢を見ました。女神様が現れ、お姫様にこう告げたのです。『貴女は勇者となるのです』と…。」
「そのお伽噺なら知っている」
俺は少女の言葉を遮る様に告げた。
俺の世界では誰でも知っているレベルのお伽噺。今更訊く話ではない。
「結局、魔王を倒して世界は平和になりましたって話だろ?確か…初代勇者だっけ?」
少女は話を遮られて不満だったのか頬を膨らませて俺を上目遣いで見つめている。
「…では、その初代勇者はその後、どうなったのかな?足取りは?世界を救った英雄は幸せになったのかい?」
「…それは…わからない。でも…作り話だろ?」
所詮、お伽噺だ。物語の結末は幾つも存在し正解なんてわからない。
「作り話…ね。キミたちの世界じゃ…そうなっているんだね」
少女は少し悲しげに苦笑する。

「それよりここは?『真理の地』って?そもそもキミは?」
「質問が多いな?キミ…モテないだろ?」
少女はケラケラと笑いながら右手の甲を俺に向ける。そこには『勇者の紋』があり淡い光を放っていた。
「実は…私も『勇者』なんだ♪」
「馬鹿なッ…あり得ないッ!」
『勇者』は世界に1人しか存在しない。そういう存在なのだ。神に…、世界に選ばれし者。それが勇者だ。

「キミは…不死に限りなく近い自分の身体に疑問を感じた事はないのかな?」
少女の言葉に俺はギクリとする。
確かに俺はどんなに致命傷を受けても死ぬ事はなかった。棺桶に突っ込まれて引きずられた事はあっても本当の意味で死んだ事は一度もない。

「そう…。『勇者』はね…死ねないんだよ」
少女の瞳が怪しく光り、俺に真実を告げた。


「ここはね、言わば『命の貯金箱』。『勇者』が、或いはその恩恵を受けた者が狩ってきた『命』がここにストックされていくんだよ。そして例えばキミが死にかけた時、ここのストックから消費されていく。キミは今までにどれだけの『命』を狩ってきたのか覚えているかい?」
俺は絶句する。

「『勇者』とは…人間が生み出した究極の人柱。言わば呪いなのさ。老いもせず死ぬ事すらできない。そしてここは…そんな哀れな『勇者』たちが辿りつく最期の場所」
少女が冷たい笑みを浮かべてゆっくり近づいてくる。俺は思わず後退る。
少女の右手の甲の『勇者の紋』。
俺の右手にも同じモノがある。

「ここは『真理の地』。死を求めた『勇者』が辿り着く最期の場所。…『勇者』を殺す方法はね…『命』のストックを削り切る事。そうしてようやく魂は消滅するの。ここで…削った『命』は相手に譲渡されるから…安心して死ねるね♪」
少女の手にはいつの間にか一振りの剣が握られていた。
「キミは…いや、貴女はまさかッ…!」
「はじめまして。初代『勇者』です。名前は…忘れちゃった♪」


「さぁ…始めようか…不死同士の悠久の殺し合いを。キミの『命』のストック…全部削ってあげる。それが初代の責任だからね♪」


――――――――――――――――

どちらの陣営でもないよね、これw
立ち位置的には裏ボスな存在ですかね?

この物語は私が学生時代に書いていた小説からの
引用だったりします。
一応、彼女は『悪』な存在ではなくて
本来、死ねない存在の『勇者』の魂を救済する
存在でして、初代の責任として後代勇者の為に
真理の地に滞在しています。

元ネタはギリシャ神話の『パンドラの箱』。
あらゆる邪悪や不幸や厄災がいっぱい詰まった
例の箱ね。箱の底に希望が残ってたってヤツ。
…そもそも小さな希望が何故その箱に
入ってたんでしょうね?(*゚∀゚)ノ

呪文

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2件のコメント

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城ヶ崎アオイ2025/1/25 21:51

すごい好きな感じの世界観です😄

黒羽2025/1/25 23:55
ライトな感じも加えつつなダークファンタジーになっておりますw(*゚∀゚)ノ
長文過ぎると苦手な人は読んでくれないし、
文章削り過ぎると物語が成り立たないし。
この配分が難しいですね😅

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