もう...帰っちゃうの?
地方のビジネスホテルにて
備忘録。
マユと知り合ったのは昨夜。
何の気なしに呼んだ出張のマッサージ師だ。
決して力強いマッサージではなかったが、不思議と体の力が抜けていった。
そして、何となく肌が合った気がした。
施術中は無口だった彼女もなんとなくそれを感じていたようだった。
傍で腕を揉んでいる彼女と目が合う。
目は少しトロンとしているように見えた。
じっと彼女の目を見つめると、彼女は目をつむり、手をゆっくり沿わせながら肩に回した。
互いに夢中で体を重ね続け、いつの間にか眠っていたようだ。
目を覚ますと、帰りの新幹線の時間も迫っていた。
そそくさと身支度を整えていると、マユが目を覚ました。
「・・・もう、帰っちゃうの?」
隠しきれない淋しさが、目に浮かんでいた。
「まだ、少し時間あるよ」
唇を重ね、マユがカーディガンを脱いだ。
甘ったるく、気だるい雰囲気。
いつか、この続きがあればいいな。
呪文
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