【マタタビ】21.落着点
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(前の話)
【マタタビ】20.5.束の間の休息
https://www.chichi-pui.com/posts/dc6d71e6-4607-449a-9b26-0f2d35498e20/
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ニューナゴヤに関する噂話を発端に、好奇心に導かれた“旅人”たちと、神の繭を封印し世界救わんとする“黄昏梟”、神の繭の封印を解き世界を滅ぼさんとする“越夜隊”。各陣営の勢力がそれぞれの思惑を抱き、急速に一つの地点へ収束していく。廃墟が広がるノーマンズランド。そのとある地点。そこには、終末事変の真最中に軌道上から落下してきた宇宙ステーションの一部が横たわっていた。ルースト005の最深部に眠っていたデータの断片を繋ぎ合わせた結果、一つの真実が明らかになる。
「宇宙ステーションの中には、世界を滅ぼした原因の一つが封印されている」
微睡み、揺蕩い、いつか来る復活の刻を待つ“神の繭”。それを手中に収めるのは、誰か。ニューナゴヤの最も長い1日が始まる。
「ここだ」
俺とシロ、グリレとグリルスは、ルースト005の最深部で得た座標が示すポイントに辿り着いた。そこは、辺り一面に廃墟が広がっており、その一角に宇宙ステーションの残骸が横たわっていた。ルースト005の最深部から地上に戻りこの場所に向かったため、日も暮れて辺りはすっかり暗くなっていた。
俺たちは、周囲を慎重に確認しながら宇宙ステーションの残骸に向かう。宇宙ステーションの壁や天井は崩落しており、中に入るのには苦労しなかった。宇宙ステーション内の通路をしばらく進むと、格納庫のような広い空間があった。壁越しにその空間を覗き込むと、そこには、神の繭があった——が。
「あれは、越夜隊！？ どうしてここに……！」
グリレが、驚く。そこには、仮面をつけた修道女の姿が複数あった。そして、その中心には、巨大な卵のような物体があった。
「あれが、神の繭か……」
俺は、その物体を見つめながら言った。
「でも、ルースト005で見た写真と違うよ？」
シロの言う通りだった。ルースト005で見た写真は、白く光る卵のようであったが、今、目の前にあるのは、写真で見たそれよりも大きく膨れており、周りに沢山の触手が蠢いていた。
「多分、越夜隊が神の繭を復活させるための儀式を始めちゃったんだろうね」
グリルスが、シロの肩越しに空間をのぞき込んで言う。確かに、先ほどから、仮面をつけた修道女たちは、神の繭を等間隔で取り囲み、何か呪文のようなものを唱えながら、儀式めいたことをしている。
「だが、何故この場所が分かったんだ？ 神の繭の在処は、ルースト005の人工知能からしか、知りえないはず･･････」
俺が、考えを巡らそうとしたとき、シロが小さな悲鳴を上げた。振り返ると、グリレが、シロを羽交い絞めにしていた。
「君たち、裏切ったな？」
グリレが嫌悪の混じった瞳で、俺とシロを睨んでいた。
「この場所の情報を得られたのは、サーバルームにいた僕たち4人だけだ。僕とグリルスは、越夜隊と対立する立場だ。越夜隊に情報を漏らしたのは、君たち以外に考えられない」
「俺たちじゃない！ 俺たちは、越夜隊のことなど知らない！ シロを放せ！」
俺は、叫んだ。だが、グリレは聞く耳を持たず、腰に付けたタクトに手を伸ばす。
「戦え、シロ！」
俺がそう叫ぶと、シロはガントレットを巨大化させ、その勢いのまま体をひねり、グリレを攻撃する。グリレは、シロから距離を取り、腰に付けたタクトを構えた。
「思い返せば、そのガントレットも怪しかった。肉体の拡張や改造は、越夜隊・白の聖歌隊の専売特許だ。君たちは、黄昏梟の動向を探るために旅人のフリをして、僕たちに近づいたんじゃないか？」
グリレは、完全に俺たちを敵視していた。今更何を言っても聞く耳を持たないだろう。
「君たちの思惑どおりにはさせない」
そう言って、グリレがタクトを振り上げた次の瞬間——。グリレは、タクトを握った手だけを残し、血しぶきと共に姿を消した。
俺は、状況を理解するのに数秒かかった。グリレの背後の暗闇から飛び出してきたそれは、白い大蛇だった。グリレは、反応する間もなく、タクトを握った手だけを残し大蛇に丸呑みにされてしまった。
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(次の話)
【マタタビ】22.越夜隊の修道女
https://www.chichi-pui.com/posts/2746c89c-52ef-4bf8-9ac7-391b7536158f/
【マタタビ】20.5.束の間の休息
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ニューナゴヤに関する噂話を発端に、好奇心に導かれた“旅人”たちと、神の繭を封印し世界救わんとする“黄昏梟”、神の繭の封印を解き世界を滅ぼさんとする“越夜隊”。各陣営の勢力がそれぞれの思惑を抱き、急速に一つの地点へ収束していく。廃墟が広がるノーマンズランド。そのとある地点。そこには、終末事変の真最中に軌道上から落下してきた宇宙ステーションの一部が横たわっていた。ルースト005の最深部に眠っていたデータの断片を繋ぎ合わせた結果、一つの真実が明らかになる。
「宇宙ステーションの中には、世界を滅ぼした原因の一つが封印されている」
微睡み、揺蕩い、いつか来る復活の刻を待つ“神の繭”。それを手中に収めるのは、誰か。ニューナゴヤの最も長い1日が始まる。
「ここだ」
俺とシロ、グリレとグリルスは、ルースト005の最深部で得た座標が示すポイントに辿り着いた。そこは、辺り一面に廃墟が広がっており、その一角に宇宙ステーションの残骸が横たわっていた。ルースト005の最深部から地上に戻りこの場所に向かったため、日も暮れて辺りはすっかり暗くなっていた。
俺たちは、周囲を慎重に確認しながら宇宙ステーションの残骸に向かう。宇宙ステーションの壁や天井は崩落しており、中に入るのには苦労しなかった。宇宙ステーション内の通路をしばらく進むと、格納庫のような広い空間があった。壁越しにその空間を覗き込むと、そこには、神の繭があった——が。
「あれは、越夜隊！？ どうしてここに……！」
グリレが、驚く。そこには、仮面をつけた修道女の姿が複数あった。そして、その中心には、巨大な卵のような物体があった。
「あれが、神の繭か……」
俺は、その物体を見つめながら言った。
「でも、ルースト005で見た写真と違うよ？」
シロの言う通りだった。ルースト005で見た写真は、白く光る卵のようであったが、今、目の前にあるのは、写真で見たそれよりも大きく膨れており、周りに沢山の触手が蠢いていた。
「多分、越夜隊が神の繭を復活させるための儀式を始めちゃったんだろうね」
グリルスが、シロの肩越しに空間をのぞき込んで言う。確かに、先ほどから、仮面をつけた修道女たちは、神の繭を等間隔で取り囲み、何か呪文のようなものを唱えながら、儀式めいたことをしている。
「だが、何故この場所が分かったんだ？ 神の繭の在処は、ルースト005の人工知能からしか、知りえないはず･･････」
俺が、考えを巡らそうとしたとき、シロが小さな悲鳴を上げた。振り返ると、グリレが、シロを羽交い絞めにしていた。
「君たち、裏切ったな？」
グリレが嫌悪の混じった瞳で、俺とシロを睨んでいた。
「この場所の情報を得られたのは、サーバルームにいた僕たち4人だけだ。僕とグリルスは、越夜隊と対立する立場だ。越夜隊に情報を漏らしたのは、君たち以外に考えられない」
「俺たちじゃない！ 俺たちは、越夜隊のことなど知らない！ シロを放せ！」
俺は、叫んだ。だが、グリレは聞く耳を持たず、腰に付けたタクトに手を伸ばす。
「戦え、シロ！」
俺がそう叫ぶと、シロはガントレットを巨大化させ、その勢いのまま体をひねり、グリレを攻撃する。グリレは、シロから距離を取り、腰に付けたタクトを構えた。
「思い返せば、そのガントレットも怪しかった。肉体の拡張や改造は、越夜隊・白の聖歌隊の専売特許だ。君たちは、黄昏梟の動向を探るために旅人のフリをして、僕たちに近づいたんじゃないか？」
グリレは、完全に俺たちを敵視していた。今更何を言っても聞く耳を持たないだろう。
「君たちの思惑どおりにはさせない」
そう言って、グリレがタクトを振り上げた次の瞬間——。グリレは、タクトを握った手だけを残し、血しぶきと共に姿を消した。
俺は、状況を理解するのに数秒かかった。グリレの背後の暗闇から飛び出してきたそれは、白い大蛇だった。グリレは、反応する間もなく、タクトを握った手だけを残し大蛇に丸呑みにされてしまった。
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(次の話)
【マタタビ】22.越夜隊の修道女
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