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機械の国のアリス:プロローグ

使用したAI Stable Diffusion
【1枚め】
突き抜けるような青空の下、アリスは学校へと続く道を、せくせくと歩いていました。
不思議の国や鏡の国を旅してから3年、アリスももう立派なレディです。
今日の授業はアリスの好きな機械工学。工学博士を狙うアリスにとって、必修といっていい授業、気合も十分です。

ところがいざ学校の中に入ると、なにやらいつもと雰囲気が違うのでした。
いつもは登校時間で賑やかなはずの校内が、しんと静まり返っています。
「あら? こんな廊下、前からあったかしら?」
好奇心に任せて記憶にない薄暗い通路を抜けると、そこには空があって、見慣れない植生の木が生えていました。植物学を専攻していないので詳しいことはわかりませんが、亜熱帯にみられる樹木のようです。もしかしてと後ろを振り返ると、すでに廊下はなくなって、ただ森が広がっているのでした。
(いつものやつだ、これ)
さすが3回目にもなると、すでにベテランの域。アリスは慌てず騒がず、周囲の状況を探ります。

【2枚め】
すると申し合わせたかのように、うさぎが現れました。以前のうさぎは懐中時計を持ってあくせくしていましたが、今回は違うようです。タフなボディにアクチュエーターの駆動音を響かせ、悠々とアリスの前に立ちます。機械工学を学んだアリスにはわかります。これ、最先端だ!
「おや? みなれない顔だね。こんなところで何をしているんだい?」
ロボットうさぎは、明瞭で聞き取りやすい、しかし機械音とわかる音声でアリスに話しかけてきました。
「私、学校で授業を受けるところだったの。機械工学よ。今日は流体力学だから、絶対外せないのだけど、このままでは遅刻してしまうわ。あなた、帰り道をご存知?」
「学校はわかるけど、機械工学なんて教えてないね。せいぜい分数までだよ。それに学校はここからずいぶん遠いよ。君は迷子なのかい?」
迷子と言われれば迷子です。かんたんには帰れそうにないことをアリスは察知します。となれば、まずは情報収集でしょう。
「私、こういう経験は初めてじゃないの。きっとここは私の国とは違う国ね。ここを治めているのはトランプの女王? それとも赤や白の女王かしら?」
「違う国? この機械の国の外から来たっていうのかい? ふぅむ、そんなこともあるだろうか……」
うさぎは不思議そうにアリスをじろじろと見回しました。
「まあいいさ、この国を治めているのはAIクィーン様だよ。たいそうな処理能力をお持ちで、たくさんのロボット家来を従えている。とはいえここは辺境、AIクィーン様の慈悲も及ばない、滅びゆく土地だよ」
「滅び? どうして滅びるの?」
AIクィーンというなかなかのパワーワードが飛び出しましたが、アリスは滅びの美学に惹かれるタイプなので、そちらに食いついてしまいました。
「AIの庇護を失ったからさ。人間や旧世代のロボットたちだけじゃ、生産性は見込めないからね。衰退して、やがて滅びるのが必然なのさ」うさぎは他人事のように言い放つと、続けてこう言いました。「君は人間だろう? 食べないとじき死んでしまうんだから、衰退中だとしても、人間の街に行ったほうがいい。僕が途中まで連れて行ってあげる」
「ご親切にどうも。それではご厚意に甘んじて、あなたのボディに身を任せるとするわ」
「乗せるとは言ってないけど、いや、すでにしがみつかれてしまった。あ、そういうデリケートなところ、触らないで」
「構造解析中よ、気にせず進みなさいな」
アリスってこんな横暴キャラでしたっけ? と原作を昔読んだだけなので半信半疑になりつつ、次の章に進むのです。

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