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【1】
「あーあー…滅茶苦茶にしちまいやがってよぉ…」
夏の匂いを混ぜかえす、焼け焦げた匂いと血の匂い。
がれきと化した店の入り口を、呆れた顔で見やるリズ。

【2】
その視線の先にいたのは…

【3】
「へぇ…、生きてやがったか、梟のガキ。やるじゃねえか」
“梟のガキ”と呼ばれた少女は、わずかな不快感を表情に漏らす。

【4】
「ちっ…この店もしばらくは閉店か…。ちょうどいい、梟のガキ。てめぇあたしの舎弟になれ。あいつらぶっ飛ばすついでに、てめぇの行きたいところに連れてってやる。てめぇがあたしの舎弟でいる限り、てめぇには指一本触れさせねえ。どうだ?」

リズは、外したヘッドドレスを少女に差し出す。

【5】
一瞬逡巡した少女だったが、すぐに決意を込めた目でリズにを見据える。
「わたしには、やるべきことがあります」

【6】
ヘッドドレスを付けなおし、晎笑するリズ。
「へぇ、てめぇの命よりやんなきゃいけねぇことがあるってか? 気に入った。名前は?」

リズの目をまっすぐ見据え、少女は口を開く。
「リティル…。私の名前は、リティル・フィンフィールド」

「よぉし、リティル。あたしがメイドの名に懸けて、リティルを行きたいところに連れてってやる。どこにでもだ。どこに行きたい?」

「…ノーマンズランド。『神の繭』へ」

「決まりだな。リティルのやりたいようにやれ。邪魔するやつはこのリズ様がぶっ飛ばす」

リズは、がれきの中から白塗りの鉄板を拾い上げると、なにやら殴り書きし、壊れた配管を杭にして吊るし、即席の看板をでっちあげる。


CLOSED
ご主人どもへ
必ずここに帰ってこい
その時まで
“いってらっしゃい”
      リズ


(次)夏底を往く
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(前)リズのメイドカフェを護れ!
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(1)メイドカフェ・ニューオオス
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呪文

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