西暦2074年東京(上)
すると空は急に暗くなり、空気は湿度を増した。
雨でも降るのだろうか、
雨宿りできるところを探して前に進むと、道の先が急に開けた。
見たことのない街並みが広がっていた。
「近所にこんなとこあったけ?」
見たことのない風景、路地を引き返そうと踵を返す。
「……。」
似たような路地がいくつも並びどこに行けばわからない。
途方に暮れていると自分と同じ制服を着た少女が歩いてきた。
見たことのない顔だったが声を掛ける。
「---に帰りたいんだけど。」自分の住んでいる地区の名を挙げて尋ねる。
「---ですか、確か少し前まではあったような…。」
少女の回答は要領を得ない。
「ああ、私が中学生のころ合併したんだ。」
この子は何を言っているのだろう。
「---だよ、○○の隣。」すかさず続ける。
「ええ、ですから××のことですよね。」
少女は聞いたこともない地名を挙げる。
「えぇと、合併、××、どういうことなの。」
意味が分からず言い返すと、
「ですから2年前、2072年に合併して××になったんですよ。」
2年前が2072年、つまり今は2074年?
今年は2024年だったはず。路地を曲がっただけで50年後の未来?意味が分からない。
彼女からもっと聞き出そう。
「もう行きますね。」
ふと見やると、少女の後ろ姿が遠ざかっていく。
「待って」彼女を見逃さまいと走り出した。
つづく
PixAIにて作成
model: VXP Type-A (1.6) Type-A
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