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廃墟の駅舎

使用したAI NovelAI
今日は8月13日、私はここに帰ってきた。
10年前の堤防決壊(後日調査で、水は堤防を越えて溢れたに訂正)により、この琥珀駅にゲリラ豪雨を
警戒して臨時停車していた電車2両と駅舎はあっという間に水没した。
琥珀駅に勤務する駅員及び電車乗務員、50名以上の乗客がいたが、夜ということもあって状況が把握
できぬまま大半が溺死又は行方不明という大惨事になった。生存者は10人もいなかった。
その後、線路を迂回することにより被災した琥珀駅は放棄され、高台に新琥珀駅が新設された。
賛否両論あったが、琥珀駅は清掃整備後に災害史跡として損壊建物や電車はそのままに保存されている。

私は、元の駅ホームを歩いて半壊した客車の前に立った。そこで友人と1年ぶりに再会した。
「お久しぶり、実家にはもう帰った?」友人は柔らかい笑顔で聞いた。
「ああ、もう行ったよ。15日まではここに居るよ」私はカラカラと笑った。
そう、私も友人も10年前にこの客車で死んだのだった。
私と友人の遺体はすぐに見つかったことは幸いだった。中には遺体の見つからない方もいたのだから。

あの時、アッと思ったら水に吞まれて意識を失った。あっけなさ過ぎて死の実感がなかったことを覚えている。
自分の名前が刻まれた慰霊碑を見上げた。空には遠く大きな夏の入道雲が見えた。
「もう少し女子高生したかったな・・・・」私は小さく呟いた。

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