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青年「今日こそ、同じゼミのI川さんにあいさつするぞっ。I川さんの醸し出すカワイイは普通じゃない。日々ロリフェイスにスーツというアンバランスさを振りまいているのがなによりの証拠だ。気になって仕方がないよ、I川さん! なんとしてもお近づきになりたいっ。やはりそのためにはあいさつからだろう。この一週間、シミュレーションはばっちりだ。何度も練習した。大丈夫。まずは目を合わせて、そのあとにこう言うんだ。『おはようございます』。そう、『おはようございます』と」

通りすがりの学生「ねえ、あのひと。ぶつぶつ独り言言ってる」
連れの学生「やだー。きももー」

青年「なんてことはない。物心ついてから何度も言ってきたフレーズじゃないか。間違えようがないだろ。おはようございます……おはようございます……おは――あっ!?」

向こうからI川さんが歩いてきました。
と同時に青年の心臓はドッキドキに高鳴りだしました。
それでも青年はI川さんに向かって歩きだしました。
「(いけるっ。おはようございますを言い続けていた今のタイミングなら、いけるっ!)。
あ、あのぉっ」
「ひゃっ……!?」
びっくりして立ち止まるI川さん。

青年「お、おっ……。(うわあ、正面から見るとなおカワイイ)」
I川さん「え……お?」
青年「おさろーごじょナイスッ……」
I川さん「エッ、何語?!! ……あ! おはようございます?」
青年「はい! おはようございますっ」
I川さん「おはようございます」
I川さんは会釈しながら教室へと歩きだしました。
「ふうっ……」
青年はどこか達成感のある笑顔で、額の汗をぬぐい
「ね? あいさつなんて超簡単」



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