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『ふむ、まずはそこの娘…見たところ私を模した人形のようだが…』

私?

『話しやすいように貴様の知識を貰うぞ…なに、貴様に悪影響など無いさ…』

一瞬耳がチクッとしたような…

あれは…まさか私?

『ふふん、どうだ?そこの娘と同じ見た目、同じ思考、同じ知識になった。で…どうだ?子をなせぬシンカロンよりも私に乗り換えてみるきはないか?』

一体何を‼
しゃべれない…
あいぼー
怖いよあいぼー

「俺を見くびっているのか?俺はこいつだから好きになったんだ。例え全てが同じだったとしても…こいつよりも全てがまさっていたとしても…俺はこいつを選ぶ」

『で、あろうな…流石はあの男の息子と言ったところか…』

「親父を知っているのか‼」

『勿論だ』

それは聞いちゃ駄目‼
あいぼうのお義父さんは…

『ふふふ…この娘お前に隠し事はないと言っておきながら隠していたようだな…お前の父親は私を封印して終末事変を引き起こした科学者その人さ』

ああ…知ってしまった…
勿論それは理由がある…悲しい理由が…
お義父さんは何も悪くない
でも、結果だけを見るなら今言ったことは全て真実だ…

「嘘だ‼」

『いや、嘘じゃないとも…』

そして、神は語り始めた…終末事変の真実を…


終末事変…
それはたった一人の善意から起こった悲しいすれ違い

安息の地を望んだだけのあわれな迷子を
人間がよってたかって道具扱いし

ただ一人だけ人として扱った男が
その子を保護した結果

人々はその男が知識を一人占めしたと考えた
迷子の子供の部下は、既に人間に絶望していたため
その男を信じきれず殺した

すぐに戻ると言って宇宙ステーションを後にした男
帰りを待って、シールドをはり宇宙ステーションで待った迷子
いつまでも帰らぬ男

やがて迷子を手に入れるため争い始めた人間
また裏切られたと思った迷子

やっと己のしでかした事に気がついた部下


そして、世界は簡単に滅びを迎える


『私の知る知識に、この娘の知る知識、ゼリーの知識から導きだした真実がこれだ…』

「そんな…そんなことのために世界は…親父は…」

あいぼう…

『ハハハ…私はこの星に降りるべきではなかったのだな…あの美しかった星が…こんな姿になってしまった…あの優しかった男も…』

「…」

『私達はこの星を出ていくことにするよ…この星に私達の安息の場所はなかった…そこであなた達に一つ頼みがある』

「頼み?」

『簡単さ…テレポーターを作って欲しい…勿論今あるテレポーターではない。いつか安息の地にたどり着ける特別製を…その為の知識は教えよう…』

『ただし、エネルギーと物資をもつ旅人と言う勢力、それを作り上げることが可能な拠点を持つ越夜隊と言う勢力、そして数々の道具を持つ君達黄昏梟と言う勢力…その全てが手を組まねばならない』

それは…難しい…

『勿論報酬は用意しよう…そこのゼリーも使っていい…越夜隊への多少のコネも持つようだしな…期間は50年程もあれば良いか?』

『私は疲れた…裏切られたと思った男の真実も知れたし…もう一度深く眠りたい…私に今度こそ人間の輝きを見せてくれ…』

「…わかった。それと、これをやる」

『何だそれは…』

「親父の形見だ…俺が持っているよりもあんたが持っていた方が良いだろう…恐らくあんたへのプレゼントの品だろうさ…」

『何だこれは…ずいぶん不細工な人形じゃないか…私にこんなものを渡すつもりだったのか?私はこんなものはいらなかった‼ただ帰ってきてくれるだけでよかったんだ。何で…何でこんなことに…』

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