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白黒の世界に思う

「俺は欲深い人間たちに裁きを下す」

召喚するは地獄の亡者たち

「俺は誰にも味方しない、誰にも仕えない、俺自身の音で判断する」

この世界は不協和音で溢れている。

「優しい世界は絵本だけ、俺は他の死神のように情けなんてかけねぇ…」

「地獄千年、はたまた無限、てめぇの罪の数をHzに変換しておくる」

眼鏡の爺に鎌を向けて、
その眼鏡を叩き斬るッ!

「ぐっ、覚えておれ、他の天使たちが、お前を殺すだろう」

「上等だ、腐った天も悪魔もぶっ殺してやるよ」

上にも下にも媚びないデフェクトは
己の天秤で判断する。

誰かの命令には従わない…
群れない、へりくだらない、媚びない…
理不尽なやつらには
この鎌で倒してやる覚悟だった。

故に、デフェクトは孤独だった。

孤独、故に詩的な表現をする
人間の作品が好きだった。

苦悩に満ちた、苦しみや悲しみを背負った者の作品が好きだった。

快楽や、幸福、幸せのある作品など
興味なかった。

己の鎌の刃を研ぎ澄ませる。

闇と闘争の音を最大限に上げてゆく
数多の人間の魂を狩ってきた。

どれも汚い雑音ばかりで、
吐き気が出そうだった。

「お腹減ったな…、だけど、私は罪深い人間だ…だから、別に死んだっていい…」

ボロボロの格好をした人間が現れた。
そして、冷たい雪にて倒れかけたところを

「人間、お前はまだ、死ぬべき時じゃない…、だから、俺が刈り取ったHzをお前に聞かせる」

デフェクトは魂の音を聞いた
美しかった。

どれほど、見た目を繕っても、
魂の音は簡単には変えられない。
固有の周波数を奏でている。
だけど、この人物の音は心地よく…
怒りの炎がすっとやわらいだ…
目を覚ます、人間、

「目覚めたか…、パンと牛乳、を用意した、質素なものだが我慢してくれ」

「あっありがとう…」

「デフェクトだ、好きに呼んでくれて構わない」

「じゃあ、デト」

「借金、負債…まぁいい、俺自身にも罪の枷は適用されるべきだからな」

デフェクトは、人間でもよかったが、
聞いた限りには知らねばなるまいと思った。
この、心地よい魂の音の名前を

「名前は…フードって呼ばれてる」

「フードか、HoodあるいはFoodか…」

「食べたからには、何かお礼をしないと…ダメだよね」

この人物の境遇にノイズがはしる…
頭を抑える、デフェクト、
彼は、この人物の名前と、
言葉の先から…薄汚いものを予期した。

「いい、お前はもう…そんなことをしなくてもいいんだ…」

「デト…でも、私は…こんな生き方しか知らないから…」

「ならば、歌ってくれ、フード、魂の歌…お前が歌って、俺が奏でる」

「デト…私、歌をあまり知らないの…」

フードは落ち込んだ表情を見せる。

「思ったことを歌えばいい、今、感じたこと、言いたいことを歌にしてさ」

「感じたこと、言いたいこと…、ふふ、デトって死神さんだけど、優しいんだね」

「俺は優しくはない、俺は俺自身の天秤で行動したことだ…」

灰色の空から白い雪が降る夜
綺麗なようで、汚い世界
富める者は暖かな部屋で
健やかな日々を願って、幸せを貪る。
貧困なる者は今日という日が終わりの日か
生き続けるために、薄い布を纏って働いている。

身分の差、幸せの不平等、犯罪の存在、
生きることのジレンマ…
無色透明な世界の奥底には
あまりにも汚水や下水にまみれた
世界で溢れていた。

純粋な瞳で見れるのは、
無知な者か、諦観した者かだ。

デフェクトは濁った瞳で世界を見ていた。
だけど、フードを見た途端に、
己の存在に愛という感情が芽生え
彼は彼女のために、この世の理不尽を斬る
武器になろうと考えた。

彼女が歌を歌おうとした、その時、
玄関から扉をノックする音が聞こえる。

デフェクトは音の周波数で、
彼らが天使の者たちだと察知する。

「フード、俺の後ろに隠れていろ」

地獄の亡者たちを展開する

「貴様はネガメエル様を手にかけた、その罪、万死に値する」

天使たちが剣をデフェクトに向ける。
だが、デフェクトは笑う。

「何を笑っている」

「お前らの正義ってのは、都合のいい物ばかりで本当に滑稽だよ…秩序を謳いながら、人間を性の道具にするようなド腐れ野郎がよぉぉ!」

大半の天使たちは一凪ぎで
体を両断された。

「大多数は仕方なく許すかもしれない…なぜなら、それが正義だからだ…だが、俺は俺の天秤で判断する、地獄千年、はたまた無限、てめぇの罪の数をHzに変換する」

「正義を舐めるなぁぁー!」


天使は抵抗するも、
首を斬られ、倒れて霧散する。
空気中に散らばった粒子は
デフェクトのスピーカーにて
吸収される。

「お前らのHz、頂戴した…」

亡者の領域を解き、
フードを見る…
涙を流していた…

「ありがとう…デト」

フードの悲しみの芽を
一つ摘めてデフェクトの心も
温かさを感じた。

「フード…」

デフェクトは彼女の頭を
優しく撫でた

『鎌は眠り白銀へ』Song
https://suno.com/song/f59e742d-c606-4dfc-b1cb-5d27c854ec85

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