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トーラス

使用したAI Dalle
フラール紀年法 魔王顕現の年 春
 
ザルグアードの中で病が流行り始めていた。
諸族の中から落伍者が集まったザルグアードには、薬草の知識があるものが少なくなかったが、
肝心の薬草が無く、洪水ですっかり地形が変わり もとの自生地を探すのは困難であったので

洪水の被害が少なかったと思われる北のフラールの地を目指すことにした。


フラール人の岩山を目指してきたのはザルグアードだけではない。
諸族の生き残りがいくつも山の麓に集っていた。
その山は、トーラス(まっすぐな山)といった。
トーラスはラスファーンの北東に位置する山で、平地の民がそこに至るには
岩と硫黄の険しい道のりを超えるか、大きく西に迂回する必要があった。


フラール人は当然のことながら、彼らを歓迎しなかった。
山を荒らされたくないのはもちろんだが、長雨で緩んでいるのはこのトーラスも同じなのだ。
ラスファーンが地揺れを起こしていることもあった。
落石、道の崩落、出水。
フラール人が彼らを拒む以前に、トーラスの神が彼らを拒んでいた。

それでもここに棲んでいるのがフラール人なのである。
如何に恃まれても応えられることは多くない。

平地の民はそれを、フラール人が魔法を使って拒んでいるのだと噂した。


言葉の通じるものも、そうでないものもいる。
ましてや殺到する窮民である。
麓は荒れ、死人や病人が相次ぎ、わずかなことを巡って争いが絶えなかった。

─────我々棄民には、この争いを割って進んで行く力は無い

ザルグアードはトーラスに登るのをあきらめ、西に向かった。

呪文

入力なし

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