世界を平和にする究極の魔導具・あるいは正義の旗手たる姫を篭絡する魔王の奸計

2023/09/05

使用したAI Stable Diffusion

北方遠征に向かった騎士団が持ち帰った魔法のオーブ。
なんでも、古えからの魔族に関するあらゆる知識が封じられた、魔族にとって門外不出の、いわば重要機密の塊のような魔導具だと言う。
「これで魔族共の弱点を知ることができれば、長年の魔族との戦いに終止符を打つことができましょう…」
だが。このオーブこそが魔王が仕組んだ罠であった。
一人自室に戻った姫が、オーブに魔力をこめ、情報を引き出そうとした瞬間。
膨大な量の情報と感覚、感情がオーブから迸り出て、姫の脳に流れ込んでいく。
「な、何…これは…！」
（いけない、魔力の回路を閉じないと…）
オーブから顔を背け、魔法を停止させようとする姫。だが…
（ダメ、目を反らせない…どうしてか吸い寄せられる…！　いけないのに…！）
オーブが古代からの情報の記録媒体であることは事実であった。
だが魔王は、オーブに呪いをかけ、オーブからある程度恣意性のある情報を使用者に強制的に流し込むよう仕組んだ。
つまり…
（…何！？この…破廉恥なこと…だめ…流れ込んでくる…私…昔からこれを知ってたみたいになって…）
古代から永らく続く魔族の夜の営みを抽出し、使用者の脳に焼きこんでいるのだ。
「あ、あ、あ、」
（…おかしく…なる！）
姫の脳は限界を迎えつつあった。
オーブからの魔力の奔流が、幻聴を生み出す。あるいは魔王の仕組んだ声か。
『こんな素敵な魔界を、滅ぼそうというの？　あなたは』
「こんな…素敵な…魔界を…滅ぼそうとしていたの？…わたしは…」
（だめよ、ダメ！　耳を貸しては…でも…）
幻聴がささやく。
『あなたはもう、とっても気持ちいいことを知ってしまった』
「わたしは…もう…っあ…とっても気持ちいいことを…知ってしまいました…」
（確かに…昔から当たり前のようにしていた…みたいに…憶えてしまった…）
『こんなに穢れてしまって、どうして聖女を名乗れましょう？』
「穢れてしまった私は、…もう…聖女ではありません…ん……」
途端に姫の瞳がとろんと力を失っていく。
『さあ、もっと魔界の営みを見て、感じて、知るのよ。あなたは目を離せない』
（ああ、…ダメ……ダメ……）
理性があらがおうとするが、魔力の奔流に押し流されていく。
「あ、はああ、あああっ、…っんあああーーーーーー！」
　＋　＋　＋
この日を境に、姫により騎士団の任務は国内巡視と国境警備中心となり、許可なき国外遠征が禁じられた。
そして、勇者を登城させるよう、命が下された。
…この穢れの罪に連座させるために。

呪文

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イラストの呪文（プロンプト）

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