書斎の窓から
ぼくは、それをいつもうらやましく思っていた。
ある日思い切って打ち明けてみた。
「この部屋ほしい」
父はほんとうに嬉しそうな顔をしながら
「ええよ、そろそろ子供部屋いるやろ」
それから父は一階の薄暗い部屋に引っ越した。
なんだか悪い気がしたが、ぼくはさっそく使いはじめた。
父の部屋は煙草臭かったので、毎日窓を開けて掃除した。
何年か経ってから気づいた。
亡くなった父がぼくのことを何よりも大切にしてくれたことを。
机の引き出しの奥に「・・・」が入れてあったのだ。
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