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銀狐様、花火を見る

使用したAI NovelAI
「大婆銀狐様! 花火ですよ!」沢山の子銀狐が浴衣姿で走ってくる。
「ああ、稲荷市長の話では今年は財政的に難しいと言っていたが、開催できたんだな」
大婆銀狐と言われた銀狐も外見は若い女性で大きな耳が生えている。
「大婆銀狐様も会場に行きましょう!」子銀狐達は手を引こうとする。
「私はここでいい。神社からでも見えるからな。それに市長に挨拶するのも面倒だ」
子銀狐達は残念そうな顔をしたが、ぺこりと頭を下げて出て行った。

我は斎藤三郎という侍大将に、我を討伐しない代わりに銀狐神社の土地神となり、この地を守るように提案された。
それを斎藤家が今後監視する条件(逃げれないように神社に結界をする)で我は生き残った。
以来、800年たった。稲荷市となった街は繫栄し人も増えた。
災害や飢饉があっても、この地は被害が非常に少なかった。
特に大戦末期、多くの軍需工場のあった稲荷市は20回以上も空襲を受けたが、被害はほとんどなかった。
パイロットの話では稲荷市上空に来るといつも濃霧で、本当にいつの間にか目標を見失うと言う。
我の妖力で偽りの雲を発生したに過ぎない。要するに雲が爆撃機と一緒に移動しただけ。
爆撃当日はいつも天気は良かったのだ! (ドヤ顔)

銀狐神社は稲荷市を見下ろす高台にある。
大婆銀狐は800年前のこの地を守る約束を忠実に守っている。
過去何度も逃げ出す機会はあった。
鎌倉幕府、室町幕府、戦国時代と統括する組織がなくなれば結界維持する者がいなくなるからだ。
一族の中で逃げた銀狐もいたが、その後どうなったかは分からない。
我を縛る結界は消滅してから400年経つが、再結界は張られなかった。逃げようと思えばいつでも出来た。
でも我はここにいる。我はこの街が好きなのだ。斎藤家に嫁いだ銀狐までいるのだ。
我は、800年前の侍大将の妻になった思い出を胸に抱きながら夜空の花火を見る。

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