Noah's Ark
おおよそ生命が住む場所ではなくなった地球を浄化するため、貪った資源から生まれた科学技術=AIとロボットにその役割を託し、地下に潜った。
人類は自戒から地下では贅沢や好奇心を収め、慎ましく暮らしていた。
技術は20世紀の水準を超えることはなく、夕焼け色のような光が照らすノスタルジックな町並みがそこにはあった。
そんなアンダーグラウンドしか知りようのない世代がマジョリティになった頃、少女=憬(けい)が地下世界の天蓋(そら)を見上げた。
「ずっと昔には地上という上の世界に人は暮らしてたって聞いたことがあるけど、どんなところなんだろう?」
憬は蓋を開く。
「!?・・・」
そこは地下世界には存在し得ない青白く光るディスプレイや計器、金属の壁、そして外は"黒"で支配されていた。
いつの間にか科学技術は人類を運ぶスペースシップを創造し宇宙(そら)を飛んでいた。
憬の好奇心は驚きの色に一瞬光り、次第に凍えるような色へ暗転した。
呪文
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