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白くま少女の終末譚③

使用したAI Dalle
【1枚目】
少し白ラッコの話しをしましょう。彼は脳にAIチップを埋め込まれたミュータントで、生体改造された結果、厳しい環境でも生き延びることができたのです。私は、私を起動してくれた彼を、お父さんと呼ぶことにしました。

「改造人間は男のロマンなんだよ」
お父さんはよく、そんなとりとめのない話しをしてくれました。
お父さんのAIは浪漫や萌えにチューニングされていたそうです。
「人類はAIに、政治、科学、医療、軍事、いろんなことを託した。でもお父さんの国では、AIでかわいい(かっこいい)異性とおしゃべりすることに夢中だったんだ。とても愚かで、世界一平和なAIの使い方だった」

そんなお父さんですが、数百年ほど活動したころ、「白い翼の人間が見える」と言い出しました。私にはそんな人は見えない、人類はとうに絶滅していて、他に起動しているロボットやミュータントも残っていない、と伝えましたが、お父さんは「でも見えるんだ」と不思議そうな顔でした。

【2枚目】
それからしばらくして、お父さんは寝床から出れなくなり、日に日に弱っていくのがわかりました。
「AIに神はいないと思っていたが、長く活動していると、人間の感覚に近づいていくんだなあ。宗教なんて対立を生むだけの愚かな思想と思っていたが、こうして最後を迎えるとき、受け入れてもらえる先があるというのは、いいことだね……刻が見える」

私はお父さんに、何かして欲しいことはないか聞きました。お父さんは静かに首を振って、
「僕は大丈夫。それより、残されるお前のことが心残りでならないよ。いったいこれから先、話し相手もなく、孤独に何千年も稼働する君を思うと、不憫でならない。僕が君を起動したことは、正しかったんだろうか?」
その問いに私は答えられませんでした。代わりに私はこう言いました。
「お父さんと過ごした385年と3ヶ月と21日と15時間と47分、本当に楽しかったよ。私、お父さんからアニメやマンガの話しを聞くのが好きだった。人類が何を思い、何を考えて生きていたのか、そこから感じられる気がした。
お父さんがいなくなっても、私のメモリーから想い出は消えない。385年と3ヶ月と21日と15時間と48分、その想い出と生きていく。
約束するね。私はずっと、ひとりでも元気に楽しく生きていくって」
そのとき、お父さんはもう息絶えていました。お父さんとの想い出は、385年と3ヶ月と21日と15時間と48分で永遠に停止しました。
お父さんは天国というところに行けたのでしょうか?

呪文

入力なし

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