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https://www.chichi-pui.com/posts/763cec5a-0c80-4c30-90ba-63555015761b/ハルト「失敗した! なんでちゃんと確認しなかったんだ!」
俺は帰りのホームルームが終わると同時に席を飛び立ち、全速力で自宅に向かっていた。
自宅に着く頃には息も絶え絶えになっていたが、気力で玄関の鍵を開ける。
2階建ての一軒家。
この時間なら父は仕事、母もパートに出かけていて、中にはゾラン以外誰もいないはずだ。
ハルト「ただいま」
靴を脱ぎ、2階の自分の部屋に向かって階段を駆け上がる。
そして部屋のドアを開けた、その時、
〈画像1枚目〉
ゾラン「おかえりなさいマセ、ご主人様♡」
目の前にメイド服姿のレナちゃんが現れた。
この突飛な状況を把握したかったが、今は呼吸を整えることに精一杯で、頭が働かない。
それより心臓がどうにかなってしまいそうだ。
ゾラン「こんなに早く帰ってきてくれるナンテ、ゾラン嬉しいデス♪」
ハルト「……ゾラン? ……ゾランなのか?」
何分経っただろうか。ようやく落ち着いたところで改めて顔を上げる。
やはりメイド服姿のレナちゃんが立っている。溢れんばかりの笑顔で。
ゾラン「はい! ゾラン、ハルトがいない間いっぱいこの星のこと勉強シマシタ」
〈画像2枚目〉
胸を張るゾラン。
まだ危なかっしい所があるが、口調もかなり自然になっている。
ていうか一人称「ゾラン」なのか。まあいいけど。
ゾラン「どうデスカ? この国の男性達はメイド服に萌えるとネットに載ってイタので」
ハルト「ちょっ、『ネット』って。俺のパソコン使ったのか?」
ツッコミどころがありすぎてついていけない。
ゾラン「申し訳アリマセン。勝手に使わせてイタダキマシタ」
ハルト「ロックがかかってたはずだけど」
ゾラン「セレストラの技術を持ってスレバ、あれくらい楽勝デス」
〈画像3枚目〉
恐ろしい。ゾランは一体俺のパソコンで何をしたんだ。
あの中には誰にも見せられないあんなコレクションやこんなコレクションもあったはずだ。
しかし藪蛇になりそうなのでこれ以上は訊かないことにした。
ハルト「ほかには? 例えばここにある本とか」
ゾラン「全部読みマシタ。このマンガとか、この辞典とか」
ハルト「じ、辞典!? それは読むもんじゃないぞ?」
ゾラン「そうみたいデスネ。でも、この国の言葉を知りたかったノデ、ちょうど良かったデス」
俺は開いた口が塞がらなかった。
向学心が凄すぎる。もし俺が同じ立場に立っても、ここまではしないと思う。
ハルト「まっ、皆が皆、メイド服好きとは限らないけどな。ダイチなら泣いて喜ぶかもだけど」
ゾラン「デスネ♡」
今すぐダイチに報告してやろうか。
いや、まずはこのゾランの大変化を独占しよう。
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