邂逅編
その1
https://www.chichi-pui.com/posts/fdb8a2f7-a56d-4f9e-bb43-bbdda00dcc4f/その2
https://www.chichi-pui.com/posts/04fde0da-8865-4541-b143-5e2531424468/その3(前編)
https://www.chichi-pui.com/posts/c858eca0-dd57-4d61-966f-a47038ab69c0/その3(後編)
https://www.chichi-pui.com/posts/735da30f-82e6-47d2-9dbf-d36f1e717fe1/その4(前編)
https://www.chichi-pui.com/posts/1d0740b6-d386-4080-b142-4e4f09659fc6/その4(後編)
https://www.chichi-pui.com/posts/705e47fb-b563-45ea-8199-0a4e0c3f3726/その5(前編)
https://www.chichi-pui.com/posts/e2902af6-7f4d-45ef-82f5-86ad5d09ec72/その5(後編)
https://www.chichi-pui.com/posts/b657a652-c15c-465f-8e48-f26517fc00d5/その6(プロローグ)
https://www.chichi-pui.com/posts/5251440b-6a9c-4b15-a58b-b120b2bacee4/その6(昔話)
https://www.chichi-pui.com/posts/f67e1309-679c-46b0-975d-b9778c6347d4/その6(正義の味方)
https://www.chichi-pui.com/posts/9db2dbac-6932-4828-bb18-b819017318fc/その6(罪を裁く者)
https://www.chichi-pui.com/posts/f944a1b3-e878-423d-b234-9d416351bdf6/その6(一つの終わり)
https://www.chichi-pui.com/posts/55084136-ca68-48c7-8133-1bd869bca0d2/その6(新たなる始まり)
https://www.chichi-pui.com/posts/29555d9d-c2ef-44a9-992f-00a0a362b9ca/屋敷編
その1(全年齢)
https://www.chichi-pui.com/posts/0818feb2-8f56-4ed6-bdd6-c080b4d6816c/それぞれの初夜(前編)
https://www.chichi-pui.com/posts/3e885db3-7255-4f0a-b92e-4dc64f0705d2/外伝系
海の日(全年齢)
https://www.chichi-pui.com/posts/0caaab99-4bf9-4eb3-bee0-46a712527b7f/かつてそこにあった光景(全年齢)
https://www.chichi-pui.com/posts/4504be02-64bb-4634-adfc-9deec2a4097e/ 画像多すぎ問題() 話を膨らませてみたらこうなった。
2分割かな()
姉妹side
「……。ここは」
ある夏の日。熱くなってきたので、屋敷の敷地内でも少し離れた
場所にあるプールの掃除をして使用可能にしておこうと提案があり、
私と姉さん、他のメイドさん達も一緒に掃除をする事になった。
ご主人様であるライさんも一緒に掃除をする予定だったけれど。
「ご主人様は……書類仕事です。いい加減、溜まってますので」
メイド長であるクオンさんにそう言われながら、文字通り引きず
られていった。そう告げた時のクオンさんの顔がとても怖かった。
掃除自体は数時間かけて終わり、後は水を入れればいつでも使用
可能になった。
「イノリ、どうしたの?」
「姉さん……いえ、細部は違いますが、このプールに見覚えが」
「このプールに?」
「ええ、昔、お母様がまだ居た頃に皆で一緒に行ったプールのこと、
覚えてますか?」
「あぁ、あったわね。確かあの時は……あれ? も、もしかして?」
ご主人様side
「終わった……終わった……」
「お疲れさまでした。では、処理してきますね」
「うん、頼むよ」
書類仕事なんて後は確認して判子押すだけなんだからと後回しに
していると凄い数を押す羽目になるのは分かってはいるんだけれど。
どうしても後回しにしてしまう。
プールの掃除は終わったかなと思っていた時、ノックの音がした。
「良いよ、入ってきて」
「「失礼します」」
トワとイノリが入ってきた。どうしたのだろうか。
「プールの掃除は終わりました……その、ご主人様」
「どうしたんだい? イノリ、トワ。何か聞きたそうな顔をして」
「単刀直入に聞くんだけど、あのプール10年くらい前に一度だけ、
一般に開放しなかったかしら?」
10年くらい前……。ああ、あの時の事かな。
「あったね。父親が新事業としてプールやろうぜみたいなノリで、
試しに開放して、どんなものかと試したのが一回。プール自体
はちょっと、作り直す羽目になったんだけどね」
主に、祖父と父親の敵対者及び親戚達の襲撃のせいだが、それは
今は関係ないので黙っておく。
結局、新事業としてのプールは文字通りお流れにしたが。やる
なら屋内プールの方が年中可能だけど、結構あるしね。
あの時は、確か応募で選ばれた家族単位で招待。人混みが苦手な
場合や、ゆっくりしていたい場合に備えて、少数でだったかな。
「その……その時に、会ってるんです」
「えっ?」
「私達家族と……ライさんとクオンさん」
「もしかして……あの時の?」
イノリside
「お姉ちゃん、ほらほら」
「あはは、やったわねイノリ」
人混みな苦手な私に配慮して……家族で海水浴やプールに出かけ
るなんて事はなかった、ある年の事。
「イノリ、ここなら貴女でも大丈夫」
そう言って、とある街の大きな屋敷のプライベートプールが抽選
で当たったとお母様が言ってきたのだ。
「本当に? そ、その……」
「大丈夫だ。居ても多くはないらしいからね」
とはお父様。あまり多いと……この頃には、そこまで酷くはない
とはいえ、そこそこ周りの感情が見えていた。あまり人が多いと、
パニックになってしまう自分が居た。
「私達が当たったのは私達の家族だけだから貸し切りね」
「ゆっくりしても大丈夫らしい。これならイノリも安心だと思う」
「行きたい行きたーい」
姉さんもはしゃいでて、それなら安心と了解した。
「二人とも、はしゃぎすぎて溺れないようにね」
「「はーい」」
お父様とお母様はそんな私達二人を微笑ましく見守ってくれては
いたけど。お母様の水着がああいうのだったのは、お父様の趣味と
今ならわかる。
サクラside
「も、もう……貴方、こんな水着を着せて」
「こういう時でないと着れないだろう?」
「そ、そうですけど……あんっ、だ、だめですよ」
お尻を撫で回す夫の手を窘めるように抑える。
「まぁ、危険がないように監視のメイドさんも居るし安全だな」
「危ない時はさりげなく近づいて、守ってくれてますね」
水着姿のメイドさんが数人、見回ってくれているのもあり、
多少目を放しても問題はないけど、やはり心配なのだ。
夫もそれを分かっているので、少し手は悪戯をしてるけど、
きちんと二人を見てくれていた。
「こんな平和な日々がずっと続けば良いな」
「ええ、本当に」
イノリside
「トイレ……トイレ」
「もうちょっとですよ、お姉ちゃん」
分かりやすいように、看板も立ってたのでトイレはすぐに
見つかった。ただ、プールからは少し死角になっていたのを
この時の私達は知らなかった。
「っ……ぅぅ」
男子用のトイレのところで男の人がお腹を抑えて蹲っていた。
ただ、この時、私には見えていた……その男の人の悪意が。
「大丈夫?」
何も知らないお姉ちゃんが近づこうとして、私はそれを止めよう
とした時。
「きゃぁっ!!」
「お姉ちゃん!! んーーーっ!!」
背後からも男の人が現れて私の口を塞いだ。
「なっ、言っただろう? 張ってれば来るって」
「母親の方じゃないのが残念だが、うへへ、ロリも良いなぁ」
「い、イノリっ!! んんっ!!」
気付けばお姉ちゃんも口を塞がれ、私達は危機と言っていい状態
になっていた。