ノーマ・ジーンさんを天国からビーチに招待してみた９：エピローグ

2024/07/27

使用したAI Stable Diffusion

それから俺はノーマを連れて日本へと帰ってきた。都内の自分の住まいであるマンションにて一休みすると、彼女を連れて両親のもとへと向かった。都心から少し離れたまだ自然の多く残る海沿いの街だ。
　そこで暮らす両親にノーマを紹介したのだ。

　文筆家をしている父親と大学教授をしている母親、２人とも英語をマスターしているのが幸いしてコミュニケーションには問題はなかった。ただ彼女の素性を説明したら心の底から驚いていた。

「ノーマ・ジーン――さん？　と言うとマリリン・モンローさん？」
「あのスクリーンで姿をお見かけした？」
「はい」

　２人ともアメリカやヨーロッパの文化には造詣が深いので、当然往年の名作映画にも非常に明るかった。俺の洋画趣味はそこから遺伝したものだ。
　半信半疑というよりも、どう理解したらいいのか戸惑っている２人に俺は説明する。

「信じられないと思うけど彼女は本物のマリリン・モンローだよ。このチケットで天界から地上に招いたんだ」
「では、生き返られた？」
「はい、ですがちょっとしたトラブルがあって戻ることができなくなったんです」
「トラブル？」

　そこで恥ずかしそうにする彼女に代わって俺が説明した。

「本来チケットで地上にいられるのは４８時間、でも彼女が妊娠した場合子供の命を保証するために地上でそのまま天井を全うするというルールになってるんだ」

　これに驚いたのは母だ。

「え？　じゃあ、お腹の中に赤ちゃんが？」
「チケットのルールに従うならそういうことらしいんだ。実際に医学的に確認できるのはもう少し先だろうけど」

　そこで父は全てを察してくれた。

「なるほど、それで日本に連れてきたというわけか」
「ああ、このままアメリカにいさせても大変な思いをするだろうから。俺も最後まで彼女を幸せにしてやりたいんだ」
「そういうことか、それなら私も協力しよう」

　母も頷きノーマに説明する。

「あなたも日本で暮らすことになって分からないことが色々あるかもしれないけど、できる限り助けてあげるから、頑張って毎日暮らしに慣れていたちょうだい」
「はい！」

　自分のことをいたずらに拒絶せず素直に受け入れてくれた２人に対してノーマは嬉しそうに微笑むのだった。

　そしてそれから、彼女の奮闘が始まった。
　日本での慣れない暮らしに苦労しつつも、日本語も少しずつ覚えて順応していく。
　元々日本は外国人に対して必要以上に追いかけ回さないので日本で暮らす彼女に対しては穏やかに接してくれた。ノーマは必要以上に注目されないかと不安だったようだが、そうではなかったことにひとまず安心していたようだった。

　そして３ヶ月目に妊娠が確認、医者にも彼女が流産しやすいということを説明した上で細心の配慮が払われることになった。

「大丈夫ですよ、出産までしっかりと手当いたしますので」

　初老のドクターはノーマを安心させるようにそう言ってくれた。
　そしてそれからさらに１ヶ月安定期を迎えた時に彼女と結婚式をすることになった。季節は初夏、軽井沢のコテージで限られた人間だけを集めてささやかな結婚式を行う。
　彼女が纏うのはもちろん純白のウェディングドレス。そこは元大女優、ドレスを用意してくれた結婚式場業者が驚くほどの着こなしだった。
　俺もタキシードを着て彼女を迎える。

「行こうかノーマ」
「はい、あなた」

　恥ずかしそうに彼女は答える。そして俺と腕を組みながら、教会へと向かう。
　振り仕切る太陽の光の下で彼女の純白のドレスは幸せに輝いていたのだった。

呪文

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イラストの呪文（プロンプト）

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