白と黒。
そう尋ねる彼女の眼差しのあまりの冷たさに、思わずひゅっと息を飲んだ。
本当に、目の前にいる魔女はあの優しかった彼女と同一人物なのだろうか。
きな臭い煙に包まれ、そこかしこで苦悶のうめき声が聞こえる。
「あ、あの……」
「消えろ」
彼女が宙に魔法陣を描く。
この村を焼き払った業火が再び燃え上がる。
なぜ、こんな事に……。
いいや……、これは、自業自得だ。
彼女から、大切なものを、大切な人を、根こそぎ奪った我々への当然の報いだ。
優しい彼女なら赦してくれると、傲慢に思い込んでいた愚かな我々に訪れた当然の結末だ。
地獄の業火に焼かれるべきは、我々の方だったのだ。
迫りくる業火を目の前にした男の目から一粒の涙がこぼれ落ちた。
それは、後悔だったのか、それとも違う何かだったのか。
知る術は、もはやない。
呪文
入力なし