ただの親子でいたかったのに
彼女も亜人である以上、発情期の訪れは避けられないものだった。日毎夜毎のよがり鳴きと自慰に耽る物音は私達夫婦の悩みの種となった。「やっぱりどこかにお嫁に出すかお婿さんをお迎えしてあげたほうがいいのかしら。」と妻は言った。彼女を我が家に迎えてからまだ10年も経っていない。一緒に過ごした時間はあまりに短すぎて、彼女を里子に出すのを躊躇わせた。かといって人間ほどではないが猫よりはずっと金の掛かる亜人をもう一匹飼うという選択肢は現実的ではなかった。
薬で発情を抑制する方法もあるが、衝動を完全に抑え込むほど強力な薬の使用は副作用を伴い、ホルモンバランスの乱れから来る心身の不調や、薬の成分が合わなければ鬱や最悪の場合精神の崩壊を引き起こす恐れがあるという。
発情を抑える最後の手段として避妊手術があるが、これとて子宮を除去したところで再び発情する可能性を完全にゼロに出来るわけではない。それに何より良心の問題がある。手術は本人が知らない間に何の痕跡も残さず出来るそうだが、私達の都合で彼女から母となる権利を奪っておいて今まで通りの良きパパとママを演じ続けるなどとてもではないが罪の意識に耐えられそうにない。「あの子を赤ちゃんを産めない体にしないで」と妻は言った。妻はかつて流産し、不妊治療の甲斐なく医師から妊娠不可能を告げられた。妻の気持ちは痛いほどわかる。彼女にその時流産した娘の名前をつけようと言ったのも妻なのだから。
嫁に出すのも婿を貰うのも無理、薬も駄目、手術などもってのほかとなるととるべき手段は一つしかなかった。飼い主である私との性行為。外見だけでなく性器の構造も亜人と酷似した人間とのセックスで交尾欲求を発散させるのは亜人の発情期を鎮める方法としてはごく一般的なものだ。だがもともとそのつもりで亜人をお迎えした人ならともかく、娘として育ててきた私達夫婦にとってそれは地獄の苦しみを伴うものだった。それでも、他にとるべき手段が無い以上こうするしかない。幸い、一度完全に発散させてやれば後はごく弱い薬を食事に混ぜて与えるだけで時々自慰を行えば抑えられる程度に発情を抑制出来るという。彼女のかかりつけ医からそう聞いて私は覚悟を決めた。妻も納得したようだった。
その夜、彼女の部屋に入ると今日だけで何度目かわからない自慰の真っ最中だった。彼女は怒られるとでも思ったのか体を固くしたが、私は彼女を抱き上げてベッドに座らせると、「ごめんな、今まで苦しかっただろ。」と言いながら服を脱がせた。
「にゃ?パパ…あたしと交尾するにゃ?初めてがパパだなんてあたし嬉しいにゃ。」割れ目に先端をあてがうと彼女は心の底から嬉しそうにそう言った。そのままズブズブと先端を膣に埋め込んでいく。妻とも長年セックスレスだった私にとって彼女の幼い膣は刺激が強すぎてすぐ射精しそうになるが、ここで果ててしまっては彼女の欲求を満たすことは出来ない。こみ上げる射精感に必死で耐えながらピストンを続ける。
「パパ…パパ…とっても気持ちいいにゃあ♥」彼女は甘い喘ぎ声を上げ、目は虚ろになってくる。それは今まで見たことの無いメスの顔だった。妻は今頃階下のリビングで耳を押さえているだろう。かつてこの世に産んであげられなかった自分の娘、その娘の名を付け、実の娘のように愛してきたもう一人の娘。その娘は今、自分の夫の腕の中で女になっている。そんな気が狂いそうな状況に、同じ屋根の下で妻は独りで耐えているのだ。
「にゃっ…にゃあっ…パパ…大好きにゃ♥これであたしもパパのお嫁さんにゃ?」そんなつもりでお前を育ててきたんじゃない!心の中でそう叫びながら私は彼女の膣に精を放った。
身体に付いた精液をよく拭きとってから服を着せ、新しいシーツに取り替えたベッドに寝かせてやると彼女はすぐに眠ってしまった。眠りについた彼女は見慣れた子供の顔をしていた。私はそっと階下に下りて汚れものを洗濯機に入れると妻に終わったよ、これで良かったのか?と聞いた。妻は涙を流しながら頷いた。
次の日、いつもと変わらない笑顔で朝の挨拶をした彼女に妻は「貴女はもうママとパパの子供じゃなくてパパのお嫁さんなのね。」と言った。そして泣きながら彼女を抱き締めた。彼女は「ママどうして泣いてるにゃ?あたしずっとパパとママの子にゃ。でもママとおんなじパパのお嫁さんになったからパパともママとももっと仲良しにゃ。」と言った。その言葉が私と妻にとってどんなに残酷か知らずに。
台所には昨日病院で貰った発情抑制薬がある。あれを彼女の食事に混ぜ続ければもう二度と今回のように性欲を爆発させることも無くなり、いずれは「パパのお嫁さん」とも言わなくなるのだろう。いつか本物の『お嫁さん』になる日が来るまで、彼女には私達のただの娘でいて欲しい。
呪文
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