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"赤い蜘蛛"の異名を持つ少女

使用したAI その他
短編『スパイダー・リリィ』
※ちょっと長いです。

地の果てのような国の、
地の果てのような町で、
場末の路地裏に一軒の酒場があった。

元より治安の酷い国だが、コロしやヌスみで手を汚さねば凡そ人生で訪れるハズの無い場所であるので、要するに「そういう客」ばかりが集う店だ。

西部劇で見たようなスイングドアが軋んだ音をたてて、一人の男が来客した。

男は三十路から四十路がらみの剣呑な眼つきに無精髭という、如何にも悪人然とした風貌であった。だが、よく観察すると顔のつくりはそれ程悪くもない。

荒んだ環境と酷い交友関係、そして当人のしてきた惨い行い……そういった因果の積み重ねが積もり積もって「彼という人間」を作り上げたのだろう。

バーテンダーにウィスキーのロックを注文しつつ、カウンターに座る。

「マスター、俺は"赤い蜘蛛"の異名を持つ用心棒を探している。ここに居るんだろ?」
「リリィか。それならほれ、アンタの横に……」

バーテンの示す先に顔を向けた男の表情が、露骨に歪んだ。顔をしかめて眉間にシワを寄せる。

「この、娘っ子が、か……?」

水を向けられた人物が席を立つ。男の言葉どおり若い女……否、少女が、茶色い液体の入ったグラスを掲げて不敵に微笑む。

「ええ、赤い蜘蛛こと、"昇天の"スパイダー・リリィってのは、確かにあたしよ」
「おいお前……それ、何飲んでんだ?」
「コ◯・コーラ! 飲むだけで幸せになれる世界一クールでハッピーなドリンクだけど、ご存知ないの?」

男は盛大に溜め息をついた。

「ああ、ナンテコッタ……スパイダー・リリィは腕っこきの銃使い《ガンスリンガー》だって聞いてたのによぉ!美女だって噂もあったが、まさかこんな……」

テンガロンハットにデニム地のオーバーオール、その下にオフショルダーの白いシャツ。艷やかな赤髪と褐色の肌、愛嬌のある大きな瞳が印象的だ。確かに「赤い」し「いい女」だが、男の想定よりもあまりに幼すぎた。

一方の"スパイダー・リリィ"はというと、こういった扱いには普段から慣れっこという様子で男に1枚の硬貨を投げ渡してコレに応じた。

「疑うなら試してみなよ」

少女が男を見つめ、

「好きなタイミングで投げ――――」

合図もなく、言い終わるまでに宙へ放り投げられた硬貨。しかし……

乾いた銃声が六度、鳴り響く。
硬貨は五度銃弾に弾かれ、宙を泳ぎ、最後にもう一度弾かれて男の手元へと返ってきた。

「…………は?」

返ってきたのである。

「ま、ざっとこんなものかな」

リボルバーから立ち昇る硝煙を吹き消す少女。恐ろしい早撃ちの速度と命中精度だ。

「おい、リリィ。壁に穴開くから"それ"すんの止めろって前にも言ったよな!?」
「えーいちいち外でデモやるのメンドイしー。ごめんねマスター、修理費はツケといて♪」

ボヤくマスターに笑顔で返す少女。
呆然としていた男が、我を取り戻した。

「す、すっげぇなお前……!そのナリで、マジで一流のガンマンだったのかよ!」
「へへへ、可愛いし強いし、もうヤベェだろ?」
「ああ!気に入ったぜ、スパイダー・リリィ!是非ともアンタを雇いてえ!いや、アンタでなきゃヤツは殺れねぇよ!!」
「ふふ、契約してもイイヨー。けど、あたしの頼みを聞いてくれる?」
「あ、ああ。カネじゃないなら何だよ?」


* * *


「アッ、アッ、アッ!いい、イイヨ、気持ちいい!」
(ハハッ、こりゃいったい、何の冗談だ……?)

さっきまで話してた可愛い赤毛の娘っ子が、腕っこきのガンマンであるあの"スパイダー・リリィ"が、男のチンポで悦び、喘ぎ、ヨガりまくっている……!

驚いた事に、少女が契約の対価に要求したのは金銭ではなく、男のカラダであった。なんと彼女は「自分を抱いてくれ」と言い出したのである。

男は病気を伝染されるなどの心配をするような性格では無い(元よりそんな懸念など不要だったが)。断る理由など特に無かった彼は、直ぐにリリィの欲望に応じ、今に至る。

「ン!ンンっ!スゴいよ!オジサンの竿で、もっと、もっと、私を、充たしてぇ!!」
(くっ、小柄な癖になんてヤラシい身体してやがんだ、この娘……!)

小ぶりながら柔らかい褐色の乳房が激しく上下に揺れる。橙色の花のような乳頭を男が舌でなぶる度に、少女の乳首が硬さを増して、男根への締め付けがますます強くなっていく。

(くっ、たまんねぇ……!!)
「アッ、イクの…?あたしもッ!イク、イクーーーッ!!」


「フゥ……!フゥ……!」
「はぁ、はぁ……」
男と少女は共に果て、ベッドの上で折り重なる。彼岸花のように紅い瞳が男の姿を映して、優しい口づけを交わした。

「そういえば、あたし、貴方の標的聞いとかなきゃだね……?」
「あ?ああ、そうだな……」

男はリリィにある人物の名前を教えた。

「結構な大物だけどな。ま、お前の腕前なら楽勝だよ!ところで、本当に金は要らねえのかよ?」
「ふふふー、いいのいいの!お代なら、もう貰っちゃってるし」
「へっ、そうかい」

「だって、あたしの依頼主の標的、『やっぱりあなた』だもん」
「…………は?」

徐ろに向けられた拳銃の暗い銃口。
儚げに微笑む赤い髪の少女の裸体。
それが、男が見た最後の景色となった。


* * *


「あー、あたしだけど。おシゴト終わったよ。そう、いつものモーテル。ボディあるから、片付けに来て?」

受話器の向こうから、疑問の声。

「え?いつもやり方が回りくどい?そんな事しなくても済ませられる……?いーの!コレはあたしなりの"流儀"なんだから口出ししないでくださーい!じゃ!」

通話を切り、赤髪の少女は返り血に染まった自身の身体をシャワーで洗い浄める。

「ごめんねオジサン……あなたの竿、とっても良かった……地獄でまた会えたら、もう一度エッチしようね」

"昇天の"リリィ。
彼女はいつも、殺す標的を愛してしまう。
心から愛した上でその命を仕留める。
獲物待ち受ける、蜘蛛のように。

それが、スパイダー・リリィと名告る彼女の生き方だから。


【完】


以下、余談。

「褐色赤髪ボブで胸の小さい娘のエッチ絵生成したいなー」
「普段はデニムのオーバーオール着てて生意気に笑ってる娘だと滾るなー」
「拳銃とか持ってそうw」

……等と、いつものように深夜に自家発電のネタを考えているうちに詳細な人物像や設定が降りてきたのが今回のショートストーリーです。

こういった唐突に思い付いた妄想や物語にビジュアルを付けられるのが、AI生成の凄さだと思います。

表題のレッド・スパイダー・リリィとは日本語で【彼岸花】を表す名前です。
花言葉は「悲しき思い出」「あきらめ」「独立」「情熱」という意味があり、害獣避けの為に墓地等に植えられたそうです。

此度の彼女の物語はこの花言葉と個人的な感傷から生じました。私にとって「創作」とは計画的なものではなく、衝動的なものなのかもしれません。

さて、彼岸花はまたの名を「リコリス」とも呼びまして……この単語に2022年にヒットしたアニメ『リコリス・リコイル』を即時思い出す方は多いかもしれません。
私がこの話の大まかな構想を思い付いたのは彼岸花がリコリスの別名である事を知る前でしたので、彼岸花のイメージに対して「少女が拳銃を持って死の淵に寄り添う」という連想に至るのは、なかなか面白い相似に感じました。

プロの作品と比較するのも烏滸がましい話ではありますが、花というのは虚構の女性のキャラクターを考える時に昔から秀逸なモチーフなんだなぁ……と思ったりしたのでした。

こんなところまでお読みくださり、ありがとうございます。それでは、また次の投稿で!

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