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「猫耳特殊部隊 BLACK CATS 🐈‍⬛」
第2章「捜索」

「きっと地下ね!地下室の入口を捜しましょう!」
二人は別れて捜索を開始した。
「いい?警戒を怠らないでね?敵と遭遇したら無茶しないで応援を呼びなさい」
もう建物内に人の気配は無かったが、まだ隠れている可能性もある。
「CAT-2了解~!ヤバくなったらスタコラサッサだね」
「バカ!マジメにやりなさい!コレはゲームじゃないんだから!」
ミクは陽気だが緊張感に欠ける。シショはいつも彼女に悩まされる。子供の頃からいつもそうだ。自分がコツコツマジメにやってきたことを、あの子はキャッキャ言いながら余裕でこなしてしまう。アカデミーに入ってからも、狙撃や格闘の成績はミクの方が良かった。指揮官課程での素養があったから自分がチームリーダーになれただけだ。きっとあの子は天才なんだ。戦闘になれば、あの子は絶対に負けることは無い。心配することはないんだ。だが、今日は何故か不安が消えなかった⋯
「お姉ちゃん、見つけたよ~」
「CAT-1了解!お姉ちゃんはやめなさいって言ったでしょ!⋯何処なの?今行くわ」
「北西の角にある休憩室みたいなところだよ」
「待ってて!一人で入っちゃダメよ」
「はーい、CAT-2了解~」
唯一の安心材料は、ミクが素直に自分の言うことを聞いてくれることだった。私があの子をちゃんと統制しなきゃ⋯
そしてすぐに二人は合流した。
「ここの床板を外すと階段が出てきたよ」
ミクは床板の一部を外して見せた。すると地下へと続く階段が現れた。
「私が先に入るわ!ミクはバックアップお願い」
「了解~」
二人ともライフルからハンドガン(拳銃)に持ち替えて、地下へと続く階段を下っていった。極端に狭い場所では、ハンドガンが一番取り回しがいいからだ。
螺旋階段のように時計回りに回りながら階段を降りていく。方向感覚を麻痺させるためだろうか。自分が今東西南北どの方角に向いているのかわからなくなる。胸の前でハンドガンを構えながらゆっくりと降りていった。
地下室まで降りると明かりが点いていた。人の気配は無い。
「油断しないで」
「バックは任せてね」
二人は背中合わせの状態で、シショが前、ミクが後ろ向きで進んでいく。互いの背後の死角を補うフォーメーションだ。
地下室は想像よりも広かった。地下室というよりも地下施設のようだ。
「どうやらここが本命ね」
「なるほど、上の建物はダミーだね」
「ここは正規の軍の施設じゃないわね。恐らく親ロシニャ派の拠点になってた場所だわ」
「そうか!さっきの連中、親ロシニャ派の民兵だったんだ!道理で射撃はヘタクソだし、さっさと逃げるわけだ」
「ストップ!」
急にシショが止まった。
「見つけたわ⋯」
通路を曲がったところに一際広くなった場所があった。中には砲弾型のミサイルの弾頭のようなものが無造作に置いてある。
「間違いないわ。W22戦術核弾頭⋯核兵器としては小さな部類だけど、それでもコレ一発で半径3km以内は焼け野原にできる」
「うひゃー!恐ろしい」
「とにかく、ここから移送するのは無理だし、ここで無力化するしかないわね」
「どうするの?」
「安全装置をロックして、起爆シリンダーを抜き取ってしまえばいいのよ」
二人は警戒しながら核弾頭に近づくと、弾頭の側面にあるパネルを開いて安全装置をロックした。
「起爆シリンダーは後ろの方にあるはずよ」
「このパネルかな?」
「それね。開いたら筒のようなものが入ってるからそれを引き抜いて」
「取れた!」
「これでこの弾頭はただのプルトニウムの塊だわ。起爆シリンダーはミクが大切に持っててね」
「了解~」
そう言ってミクは起爆シリンダーを腰のポーチの中にしまい込んだ。
「誰もいなくて助かったね」
「あとは地上に戻って本部に連絡するだけね」
地下では無線が通じないので、二人はまた来た道を引き返して地上に戻った。
大きなパラボラアンテナを備えた衛星無線機の準備を始めると、シショは異変を感じて窓外に目をやった。
多数の人影と車輌が建物を囲むようにして近づいてくる。
「⋯!大変!さっきの連中が正規軍を引き連れて戻ってきたんだわ!」
「えー!?マズイよ!任務完了じゃないじゃん」
「無線機代わって!ミクは窓の外を警戒して!」
「了解!」
ミクは柱の陰から窓の外の様子を見ながら言った。
「CAT-1よりマザーキャット!タマゴを回収!しかし、包囲されて離脱は不可能!支援を要請します!」
「⋯ザ⋯ザザ⋯こちらマザーキャットオペレーションルーム。タマゴの回収了解したのです」
独特な喋り方をするオペレーターの声が無線機から聞こえた。
「お久しぶりなのですCAT-1⋯シショちゃん」
「その声⋯ミミちゃんね?」


つづく

第1章「潜入」⬇
https://www.chichi-pui.com/posts/e8838684-044a-469d-80ae-3737d4a75f8f/


第3章「窮地」
https://www.chichi-pui.com/posts/88714a09-4ae3-4d71-a62d-bf657fc15ef1/

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