夏休みの転校生🍡
夏の朝。高校へ向かう駅で彼女に会う。
「今日も暑いね〜。」
彼女は笑いながら言った。
彼女はおばあさんの介護の関係でしばらくの間、こっちの高校に転校してきた子だ。元々は東京に住んでいたって言っていた。
おだんご頭がトレードマークの彼女は明るい性格で、すぐに学校に馴染んでいた。
「東京のほうがずっと暑いんじゃないの。」
僕は彼女から目を逸らして、蝉の声で充満しているこの青い空を見上げた。
忌々しいほどに透き通った青い空。ああ、またこの夏が来た。何も変化がない夏。単調な生活。東京はずっとずっと楽しい場所なのに、この子も事情とはいえこんな土地に来て退屈だろうな。
僕は少しそんな傲慢な気持ちを持っていた。
呪文
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