ウェスティリア国史LⅨ remake
陛下から戦後復興対策と戦争遺族への補償とケアをせよという勅令が発布され宰相は悩んでいた。
「ウェスティリア中の貴族から徴発してもいいんだが……どこも戦争に駆り出されて人手が足りねえ。その戦争で田畑がやられてる領地もあるから下手すると一揆が起きちまう」
彼は執務室で働く小姓や政務官達を見て思う
「勅令が発布されてからウェスティリア国内の特産品や行事を調べさせても報告が無いって事はそれだけじゃ足しにならねえって事か」
彼は頭を抱え溜息しか出てこない現状にゲンナリしていた
「この状況で貴族院議会に招集をかけても無理だしな……それに無理矢理に法案を通しても鬼婆の財務大臣が首を縦には振らねえだろうし」
いっそのこと貢納、結婚税、死亡税、人頭税を上げるか?、教会にも掛け合って十分の一税を更に上げさせるか……それすると臣民が本気で王の首を狙うよな~と悶々としていると政務官から声がかかる
「閣下…これをご覧下さい」
なんだ?と政務官が持ってきたとある資料を読むと、とある海辺の領地のみで行われている行事が書かれていた
「リヴィアサン豊漁祭り?……なになに?古の時代では若き娘を人身御供として荒れる海に沈めてリヴァイアサンの怒りを鎮めていた……時が下り『碧き清浄なる教会』が王国の国教になると司祭が『邪である』と禁止した。また、反発した領民や禁止令を破った違反者を領主が処刑した。更に時が下ると漁業ギルド所属の漁師の禁漁期間の稼ぎとしてギルドが所有する砂浜が開放され屋台を出し始めた……いつ頃からは不明だが『豊漁祭り』と呼ばれる様になった」
これを読んだ宰相は政務官に王都の気温を尋ねると通年を通して温暖ですと答えが返ってくる。
宰相は少し考えた後に羊皮紙にアイディアを書いては消してを繰り返す。するとアイディアが纏ったのか政務官にアイディアを聞かせる
「ウェスティリア王都にある海岸で屋台を出し、大道芸人に芸をさせ、吟遊詩人に歌わせ、腕に自信がある者を集めて格闘大会を開催……ドレスコードは水着。臣民だけでなく各国の観光客も参加出来る祭り……どう思う?」
「リヴァイアサン豊漁祭りの関係者からクレームが来ませんか?」
「時期をずらせば問題無いだろ」
「ドレスコードが水着ですと教会関係者の反発が予想されますね」
「飴と鞭で乗り切るしかねーな…後は復興税名目で入場料も取るか」
「名前はどうします?」と聞いてきた政務官に「ウェスティリア湾開港祭り」でどうだ?と返した。
そして政務官達に「法案を速やかに作れ。それと貴族院議員共に議会の招集をかけろ……」と指示を出した。
呪文
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