瀕死の抜け忍
「お主、しっかりしろ!」
モモンガニンジャが強く呼びかける。その姿も、もう……。
「目を開けるのだ! 見ろ、この月も、大地も、木も草も、森も儂も、皆がお主を待っている! この星の生命として、共に歩んでいくことを!」
ああ……どうしてこの人はそんなことを言うのだろう。殺し殺されるだけだった自分に。
「今少し、少しでいい、此処にいるのだ! 留まるのだ! 地を掴み根を張って、歯を食いしばって! 儂はすぐに戻る。それまで決して、目を閉じるでないぞ!」
モモンガニンジャが去っていくのがわかる。もう自分を引き留める者はいない。後はこの、流れる血と共に行けばいい。でも……どうして自分は泣いているのだろう? 未練があるのだろう? ほんの少しだけ、目を開ける。あまりに美しい森と月がそこにあった。まるで、自分を見守るように。
呪文
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