ガソリン車に代わる、尿を燃料にする取り組みはレースの舞台から、社会に普及しつつあった。
「ガソリン車をトイレ車に変えてくれるかい」
「わかりました、エンジン部分をトイレエンジンに切り替えますね」
「助かるよ」
ハナエは休みの時、
実家の自動車修理工で手伝いをしている。
今日は馴染みの客、水乃甚蔵
(みずのじんぞう)の車をTC車に変えてるところだ。
「まさか小で動く車ができるとは思わなかったよ」
「確かに、私も甚蔵さんの年になってたら驚いてたかもしれませんね」
車の整備をする。
「ハナエちゃんは、ガソリン車好きだったんじゃないのか」
「時代は変わりましたからね」
ハナエは少し寂しそうな表情を浮かべる
「どんなに頑張ったってガソリンは地球を汚してしまう、限られたものですから」
「深いねハナエちゃん」
「でも、最近はちょっとTCもいいかなって思うようになったんです」
「確か、ハナエちゃんは、レースメカニックしてるんだっけ」
「あっはい、それでうちのチームが準優勝したんです」
前回、ハナエたちのチーム、
風野が運転する車は
峠の伝説、藤閃に僅差で2位になった。
「すごいじゃないか、ハナエちゃん」
「だから、もっと、効率よく、大から小のエネルギーではなく、小から大のエネルギーになれるように試行錯誤の毎日です」
「頑張ってるんだなハナエちゃんは」
「いつか、トイレに変わるエンジンの模索もしたいなとも思ってます」
「夢がいっぱいだな」
甚蔵は彼女の元気さに
胸がいっぱいだった。
彼女の笑顔はまさに向日葵というにふさわしいものであった。
「あの時の戦いを見て、もっと、いい車を作ろうと思いましたもん」
「もしかして藤閃と風野のレースか」
「そうです、通信からは思いのたけが聞こえてきて、熱かったですよ!」
「これはレースメカニックの特権ってやつかい?」
「えぇ、自分の小で走る車、なんだか、貢献できて嬉しかったなぁ、ちょっと恥ずかしいけど…てへへへ」
「ハナエちゃんの小で走ってたのかい?」
「あっはい、恥ずかしながら」
「こりゃあ、ハナエちゃんのエンジンの匂いは花のような匂いがしそうだなアハハ」
「甚蔵さん、そうゆうの、メッ!ですよ」
「あっすまんすまん、いやぁ、きっと、孫に教えたら、顔を染めるだろうな」
「男性ファンを増やすってのもあるんでしょうけどね」
野郎の小は犬も食わないが、乙女の小に食いつく野郎は多い。
「男ってのは単純だからな」
「乙女はそういうのを嫌いますからね」
「わかったよ、純粋な見ることにするよ」
「そうしてくださいね」
「で、となると風野はニヤニヤしたんじゃないか」
「うん、チームオーナーはニヤニヤしてたんですが、風野さんは乗り気ではなかったですね」
「へぇ、チームオーナーは単純で風野さんはむっつりってことかい?」
「いえ、やめた方がいいとか、だからこそ、その誠実さに付いていこうと思ったんです」
「なるほどね、だとするとどうして走ったんだい?彼は」
「娘さんのためだったそうですよ」
なぜ、TCレースで乙女の小を使うのかには、そういった俗物的な要素もはらんでいた。
故に、風野が当初は乗り気でなかった理由の一つである。
「で、どうして?娘さんの為に走ったんだ」
「難病の病気でアメリカで最先端の治療を受けさせるために走ったんです」
「戦う理由ができたから走ったわけなんだな」
「えぇ、で、準優勝で、困っていたところを藤閃さんが彼の熱意を見て、お金を出したんです、次は本当の勝負をしようって」
「熱くなるな、事実は小説より奇なりならぬ、事実は小説より熱いってもんだなぁ」
「はい、あっそうだ、次はTC、Tokyo Cup に向けて始まるんですよ、よかったら、これ」
甚蔵はハナエから紙を渡される
「Tokyo Cup トイレに座ってるのはハナエちゃんかい?」
「はっ恥ずかしながら…はい」
「面白そうなレースになりそうだな」
裏表紙には東京を走る車が乗っていた
「えぇ、当日は通行規制で、特別コースで走るんですよ、よかったら見に来てください」
「うん、で、開催はいつだ?」
「7月27日です」
「暑くなりそうだな!」
「はい!」
「夏休みでこっちに来るから孫と一緒に見に来ようかな」
「ありがとうございます」
ハナエは元気よく返事をする。
Tokyo Cup、 Toilet Carが東京の街を走る日は近い。
「それじゃあなハナエさん、親父さんにもよろしく言っといて」
「はい」
ハナエは甚蔵を見送ると、
太陽を見つめる。
「そろそろ始まるのか」
峠の伝説、藤閃
と
食らい付く獅子、風間
彼の娘と妻はアメリカで治療を受けていた。次は正々堂々と、勝負するために…
2人の決戦は
スズカからトウキョウへ
「奴は峠の伝説だ。このTCレースでも無敗を誇る、今まで圧倒的だった、しかし、風野が食らいついた、まるで狼のいや、獅子のようにな」高椅子 玲 (たかいす れい)
トイレカー最速の新たな物語が始まる
「トイレクラッシュさせてやるぜぇぇー!」小木 伸二(おぎ しんじ)
「便座を解放しなさいなぁ~溢れるもんじゃないし~」マッシュ・P・ジョンソン
「負けないネ、中華四千年の小は日本の小に勝つネ」超 凄居 (チョウ スゴイ)
様々なTCドライバーが東京に集まる。
「藤閃、次は優勝するからな」風野
「俺、負けませんから」藤閃
熱き男のTC物語が劇場版にて公開!
主題歌『ラストトイレは見逃さない』
歌 Toilet Star
作曲 Suno Ai
作詞猫乃つづり
ネコノスタジオ制作
監督 猫乃つづり
今年の夏は熱き便座で燃えたぎれ!
(猫メモ)
今日は劇場版描き下ろし特典エピソードとして書きました。
劇場版を見るときに付いてくる
小説や漫画ってのは胸が高鳴りますね。
TCロードはここから始まった。
https://www.chichi-pui.com/posts/736561f5-c2c2-4960-ad73-5aea4e70b9f5/