『側付きメイドの本気』獣人族リリィは、姫様を助けに行きます！《ステータス画面あり》

リリィ（第四王女側付きメイド）
『貴様っ（魔獣）……姫様に、指一本でも触れてみなさいっ――私がお前を、駆逐してあげます‼』

＊　＊　＊

　つい、先日――

ヴァレンツィア王国の北方地方にある《空洞の神殿（廃墟）》に、災害級魔物が現れたと報告があった。
その為、王女としての務めを果たそうと、エリス王女自らが討伐に向かう事を宣言する。

その噂を聞きつけた冒険者の『雷神姫エミリー』と『疾風のシエル』も同行する事になり、王女の部屋で帰りを待つメイドのリリィ――

リリィ
「……はぁ、姫様……大丈夫でしょうか――」

　溜息をつくリリィ。
心配で日課になっている掃除なども、手に付かない状況だった。
それに、無意識に獣人族の特徴的な〝アレ〟が自分の頭に生えている事に気付いていない。

すると――
部屋のドアをノックする音が聞こえ、外側から声がした。

？？？？
（すみません、リリィさんいますか？　至急、お伝えしたい事が――）

　その声の主は、どこか聞き覚えがあるような……
しかし焦っているような口調だった為、仕方なくドアを開ける事にした。

ガチャッ

？？？？
「突然、すいません！　早くお伝えしなければと思い、走って……て、え？」

　男性騎士は、リリィの今の姿に驚き、言葉を失った。
それに気づかず、話をするリリィ。

リリィ
「やはり、あなたですか……今度は何か用ですか？　もしかして、また告白とかではないですよね？」

男性騎士
「…………」

リリィ
「……？　あの……聞こえてますか？　もしもーし？　……――反応が、ない。一体、どうしたのでしょうか――」

　リリィは困惑し、男性騎士を見つめる。
まだリリィは、自分がしでかした事に気付いていなかった。

しばらくして、ようやく意識を取り戻した男性騎士が、発した言葉は――

男性騎士
「……ケ」

リリィ
「？　……ケ？　何ですか？」

　次の瞬間――
男性騎士は大きな声で叫んだ。

男性騎士
「ケ、ケモ耳ぃぃいいーーー⁉」

リリィ
「きゃっ！　もぅ、大声を出していきなり何なんですか⁉　……て、え？　ケモ、耳？　……――あっ」

　リリィは両手で自分の髪の毛を触る。
すると、ようやく気付いたようだ。

リリィ
（……――な、なんで、隠蔽魔法が解けてるの!?　Σ（・□・；））

　リリィは焦り出した。
普段、冷静な彼女がここまで慌てるなど珍しい事だった。
そんな姿を目の前で、見られている事など考えている暇もなく、今はそれどころではないようだ。

男性騎士
「……リリィさん、とっても可愛いです！　最高です！　是非、ボクと付き合って――ぐはぁっ！」

リリィ
「う、うるさいです！　少し黙ってて下さい‼」

男性騎士
「ぐはっ！　……ゔぅ、ず、ずみません、でした――ぅ」

　リリィは恥ずかしさのあまり、咄嗟に彼のお腹に、一発殴って黙らせた。
鎧の上からこのダメージ……凄まじい身体能力だ！　(;・∀・)ｱﾊﾊ


～五分後～

男性騎士
「ぐぐ、さ、さすがはリリィ、さん……とても良い……一発、でした――ぅ」

　彼はようやく回復し、本来の目的である話をする事になった。
その内容とは……

リリィ
「なっ！　姫様達が向かった先に、Ｓ級魔物（モンスター）がいるかもしれない、と!?　――そんな……」

男性騎士
「は、はいっ！　そ、それに、その魔物の進む先は……どうやら、ヴァレンツィア王国を通過する可能性もあるとの報告も――」

リリィ
「っ!?　そん、な……――くっ」

　リリィは一人で助けに行こうと、部屋から出ようとした。
しかし、出て行く寸前に彼が彼女の腕を強く掴み、呼び止める。

男性騎士
「リ、リリィさんっ、待って下さい！　あなた一人ではとてもっ――！」

　必死に説得する彼。
自分の好きな女性が、むやみに殺されに行くなど、到底許す筈がなかった。

それでも……リリィは――

リリィ
「その手を、離して下さい。私は姫様を、助けに行きます――」

男性騎士
「む、無茶だっ！　たった一人でなんて、殺されに行くようなものだよ！　だから、少し待っ――」

リリィ
「……さい」

男性騎士
「え？」

　彼はリリィの声がよく聞き取れず、聞き返す。
すると――

リリィ
「うるさいって言ったんです！　私の、邪魔をしないでっ！　――身体強化・炎の型《ブースト・ファイア》‼」

男性騎士
「なっ！　うわぁーー‼　あちっ、あちちちっ！ Σ（・□・；）」

　彼は、掴んでいた彼女の腕を、咄嗟に離した。
リリィが魔法を唱えると、身体全体が炎に包まれている。

リリィ（魔力解放）
『姫様の元へ、私一人でも、行きますから――』

　リリィは部屋の入口ではなく、窓の方へと歩きだし、そして彼の方を向いた。

リリィ
「……その、怪我を負わせてしまい、申し訳ありませんでした。この埋め合わせは、必ずしますから……その――早く、医療室へ行って下さい――それでは」

　リリィは、飛躍的に向上した身体能力で、窓から飛び降り、姿を消した。
さすがは獣人族というべきか――

男性騎士
「あっ……リリィさん、待っ――」

　部屋に残された彼は、姿を消した彼女の、窓から香る彼女（リリィ）の匂いをほのかに感じながら、ただただ窓を見つめてしばらく動けずにいたのだった……――

（――……リリィさん）

＊＊＊＊＊
【オリジナルショート動画『魔戦物語』はこちら↓】
　　■Episode01「王女たちの喧嘩」
　　　　⇒　https://x.com/MiliyAtowanetto/status/1866107772770848849
　　■Episode02「軍神エリス」
　　　　⇒　https://x.com/MiliyAtowanetto/status/1866946097278779698
　　■Episode03「王女エリスの秘密」
　　　　⇒　https://x.com/MiliyAtowanetto/status/1867189357989499127
　　■Episode04「魔物討伐」
　　　　⇒　https://x.com/MiliyAtowanetto/status/1867996823207678122
　　■Episode05「制作中です」
　　　　⇒　制作中

＊＊＊＊＊
【作者コメント】
　・どうも、いつもお世話になっております、リアラでございます<(_ _)>
　　いやはや、本当にお久しぶりでございます！
　　最近は本当に多忙でして、まったく更新ができずにおりました(´；ω；`)ｳｩｩ　すみません(;´Д`A ```
　・さてさて、久々の更新ですが、魔戦物語の動画も『第五話』に突入しようとしております。
　　それに伴いまして、こちらのちちぷい様の方に先行して、内容をアップしておきます。
　・イラスト…ペイントソフト「sai」、文字入れ…「Power Point」を使用して作りました！
　　
　　ありがとうございました<(_ _)>

＊＊＊＊＊
■ランキング入り情報
　皆様の応援のお陰様でランクインしました！　本当にありがとうございます(≧▽≦)／
　　・2025年2月12日のV4Bデイリーランキング4位に入りました！🎉
　　・2025年2月12日のちちぷい生成機能デイリーランキング12位に入りました！🎉
　　・2025年2月12日のデイリーランキング28位（呪文あり）に入りました！🎉