キツツキ軍参謀・川蝉忠成(カワセミタダナリ)
幼い頃から軍師としての英才教育を施され、元来の血筋もあり成人する以前からみるみる頭角を現した。
父は、かつてこの国の統一を成し遂げた将軍の家臣であり指南役でもあった川蝉忠兵衛。しかし配下の者の謀反により主君もろとも命を落とし、命からがら逃げ延びたタダナリを匿ったのがキツツキノグロウであった。
恩人であるノグロウのもとで、タダナリはその軍事的才能をいかんなく発揮する。
調略と交渉事に長け、利用できるものは何でも徴用し、現在のキツツキ家の繁栄に大きく寄与した。
一方で冷酷非道な面を併せ持ち、謀反の芽を残らず摘み取り、主君ノグロウに批判的な者は女老人であろうと容赦なく捕らえ処刑し、見せしめのためその遺体を骨になるまで吊るして晒した。
それは配下の者とて変わらず、城の内外では彼を『怪物』と呼ぶ声も囁かれている。
此度のマタタビ民の一揆騒動からの反乱軍決起を、タダナリが予見していないわけではなかった。
彼自身、この反乱を鎮圧することは造作もない事だと高を括っていた。それだけ反乱軍の兵力を軽んじていた。
しかしどうか、蓋を開けてみればタダナリの想定のはるか上をゆく反乱軍の攻勢を目の当たりにし、驚き以上の焦りを感じ始めていた。
「妙だ。所詮烏合の衆、戦略も計策もあるはずもない寄り集まりの兵で何故これほどまでに互角に戦えるのだ?
マタタビ軍の中には、強靭な武器や防具を持つものさえいる。あれらは一体何処で設えたものなのか。
それだけでない、こちらの動きがまるで見えているかのように先手を打って仕掛けてくる。
何故だ…。
…よもや、何処ぞの勢力が裏で糸を引いておるのか…?」
思案に暮れるタダナリ。
早々に次の手を打たなければ、よもやこの城にまで反乱軍が押し寄せて来ないとも限らぬ…。
散らつきはじめた小雪が、タダナリの紅潮した頬をそっと撫でた。
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1件のコメント
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キツツキ軍でのご参加ありがとうございます!
世界観の描写や反乱軍の存在など引き込まれるもので、イラストからも、川蝉忠成なる人物、キツツキ家の軍師としての魅力が詰まっていて、冷酷さを示すか如く鋭き瞳が素敵なイケメンで心奪われました(о´∀`о)
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