みんなで征こう
なんでもない光景に見えるがその実、移転前ではあまり見られないものだった。
新設の戦闘課程のノーマたちなのだ。
開戦からしばらく経ち多くの将兵が散っていった。
その中には、まだこれからだったはずの学徒も少なくない。
超人的な力を持つノーマの若者が新たな英雄になる一方で、
このように散った者も数はその比ではない。
彼ら彼女らはその戦闘のための新設課程を受けているのだ。
ただ、違いはそれだけではない。
もともと専攻する能力が違うのだ。
ヒノイでは周知のことだが、超能力を持つノーマでも得意不得意は異なる。
そのため、超能力の系統ごとに専攻科目が分かれている。
また、ノーマ兵の運用は一騎当千を前提に、個々バラバラに戦うというドクトリンがとられていた。
これは先の大戦において、規格が整理されていなかったノーマを普通の兵士と混ぜて運用し難かったこと、投入が後期からだったため組織的運用できるほど数がいなかったこと、結果的に精鋭だったため近代兵器を圧倒したこと。それらが組み合わさった戦訓に由来する。
今回の戦争ではそれが災いした。
今やノーマの数は増え教育体系も盛んになったため精鋭ではない大量のノーマを戦力化可能になった。しかし、当然ながら彼らは一騎当百くらいはあっても一騎当千ではない。その上、個々人に得意不得意があるためそれが仇となる被害が続出した。(そもそも万能的な精鋭のノーマでも戦い慣れぬうちは危うく、先の大戦でもその問題点は散見された)
そして、異なる専門分野を持つノーマを集め、数人の班や、数十人の部隊を編成する運用が始まった。
移動、物理攻撃、魔法攻撃、能力補助、回復蘇生、防御、探知、情報連絡、未来予知、物品作成……それぞれ補うことでより安全により高い戦果をあげられるようになった。
今まで交流の少なかった別専攻のノーマ同士の絆が広まっていく。
願わくば、国の境をも越えることを。
【参照】
東部戦線異常なし https://www.chichi-pui.com/posts/40213f33-18b0-43b6-984c-f565ee48750d/ ……ドクトリン変更前の戦線の日常
呪文
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