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【マタタビ】9.メイドカフェの上客

使用したAI その他
(前の話)
【マタタビ】8.家族
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「おはようございます、シロさん。いよいよ今日から接客ですよ!」

 翌朝、俺とシロは、ラポームに起こされた。

「がんばる……」

 シロは、寝ぼけながら返事をする。失敗続きのシロに、まともな接客ができるかは心配だが、代わりに俺ができることもないので、静かに見守ることにする。シロは、のそのそと起き上がり、メイド服に着替える。ホールに向かうと、他のメイドたちは皆揃っていた。

「皆さん、おはようございます!」

 ラポームが朝礼の挨拶をし、テキパキと業務連絡を伝える。そして、今日からシロがホールで接客することが伝えられると、メイドたちから拍手が起こった。朝礼が終わり、メイドたちが皆持ち場につくと、本日一人目の来客があった。

 シロは、他のメイドに促されて店の扉を開き、慣れない口調で接客の挨拶をする。

「オカエリナサイマセ、ゴシュジンサマ」

 シロは、緊張しているのか、まるでロボットのような喋り方になっていた。シンカロンは、ロボットなんだが。入店したのは、緑のニット帽をかぶった金髪の男だった。男は、出迎えたシロを見て、驚きの声を上げた。

「どストライク!」

 その男は、シロを一目見て気に入ったのだろう。入店してすぐにシロに近づいてきた。

「なんて可愛いメイドなんだ! 君の名前は?」
「ワタシ、シロ、トモウシマス」

 シロは、男のテンションに気圧されながら、自己紹介をする。

「シロちゃん! いい名前だ! 俺はグリルス。よろしくね!」
「オヘヤニ、ゴアンナイシマス」

 マニュアルどおりの応答しかできないシロは、グリルスが伸ばした握手の手を無視し、店の奥に案内する。見ていて面白いので、俺も後ろからついて行く。

「ゴシュジンサマ。オノミモノハ、ミルクガヨロシイデスカ?」

 ミルクを飲みたいのはお前だろう、と頭の中でツッコみを入れたが、グリルスは即答した。

「はい! ミルクがよろしいです!」

 しばらくすると、シロは、木製のワゴンに豪華なティーセットを載せて運んできた。そして、グリルスの目の前でティーポットからスープ皿にミルクを注ぐ。

「ドウゾ、オメシアガリクダサイ」

 グリルスは、戸惑いながらも、せめてスプーンはないのかとジェスチャーで示したが、シロは首を傾げるだけだった。仕方なくグリルスは、スープ皿を両手で持ってミルクを飲み干した。そして、グリルスはシロにチップを渡す。チップを貰えるほどの仕事はしていない気がするが、客が満足しているのであれば問題ないだろう。シロは、嬉しそうにチップを受け取り、グリルスに聞いた。

「ホカニ、ナニカゴヨウボウハ、ゴザイマスカ?」

 グリルスは、即座に要求してきた。

「その頭の猫耳を触らせて欲しいです!」
「ドウゾ」

 シロは、お辞儀をするように頭を差し出す。グリルスは、両耳をフニフニと触って満足し、追加のチップをくれた。

「ホカニ、ナニカゴザイマスカ?」

 シロが聞くと、グリルスはまた即答した。

「語尾に『ニャン』とつけて欲しいです!」
「ワカリマシタニャン」
「はうぁ! 可愛い!」

 グリルスは、シロの可愛さに悶え、追加のチップをくれた。

「アリガトニャン」

 すると、グリルスはさらに要求してきた。

「次は、猫のポーズをお願いします!」
「ハイニャン」
「眩しすぎるっ!」

 グリルスは、両手で顔を覆い指の隙間から、猫のポーズをするシロを覗き見る。そして、追加のチップをくれた。俺は後半呆れながらも、近くにあったソファーの上に寝そべりながら、やり取りを眺めていた。この調子なら、今日だけで、目標の10万円に到達できそうだ。俺は、大きな欠伸をし、ソファーでひと眠りすることにした。

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(次の話)
【マタタビ】10.次なる目的地
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