”マザー”の異変

2023/10/05

使用したAI Stable Diffusion

（これはあるフェンテス政府高官の手記である。全てがデジタル媒体で管理されているフェンテスにおいて、珍しくヴィンテージな手帳に年代物の鉛筆で書かれていた。）

　「グランシュライデを守るには、我がフェンテスの元にグランシュライデを一つの世界に統合しなければなりません。」

　突然だった。我々は政府中枢会議にて戦争の終結および融和政策の検討を続けていたその最中、突如として”マザー”はグランシュライデ統一の号令を下したのだ。

　「我がフェンテスの平和維持制御システムは完璧です。グランシュライデの全ての人々がシステムの恩恵を受ける事によってのみ、はじめてグランシュライデの平和を守ることができるのです。」

　フェンテスのシステムに他の国家を組み込むこと、それはすなわち侵略せよとの命令に等しい。それまで平和を守る事を口にし続けてきたマザーの突然の異変に、私を含めその場にいた政府の高官たちは皆一様に色めき立った。

　「マザー、全ての国家を我が国のシステムに組み込むのは各国からの多大な反発が予想されますが」

　ｘｘｘｘ（検閲済）が疑念を口にした。彼はフェンテスの政治家たちの中でもとりわけ他国との融和政策を推していた、いわゆるハト派の人間であった。

　「抵抗する勢力は排除すべきです。多少の犠牲はあるかもしれませんが、それらはグランシュライデ全土の平和に比べればささやかなものにすぎません。」

　マザーの回答にその場に居合わせた誰もが戦慄したに違いない。私は脇の下から冷汗が流れるのを感じた。私が記憶する限り、マザーがそのような血なまぐさい命令を下すのは未だかつて無かった。

　「しかし・・・、」

　ｘｘｘｘ（検閲済）はおそらくマザーを止めようとしていたに違いない。例えｘｘｘｘ（検閲済）でなくても、その場にいる全員がおそらく彼と同じ考えであっただろう。正直に言うと、アイツはいつも鼻持ちならないヤツで機械油をしょっちゅう垂らす不潔な男だった。ああ、しかしだからといってあんな目に合うなんて！次の瞬間、マザーの防衛システムから一筋の閃光が放たれ、彼は一瞬にして消し炭になってしまった！誰かの大きな悲鳴が聞こえた。私も叫んでいたに違いない。

　「抵抗する勢力は排除します。我がフェンテスの平和維持制御システムは完璧です。」

　戦慄は恐怖に変わった。我々は一旦マザーの命令を受け入れる他なかった。最高の英知と科学力をもって、フェンテスの平和を100年以上維持し続けて来たマザーに一体何が起きたのか。私はかつてグランシュライデを滅ぼした悪の神の存在を確信せずにはいられなかった。我々は本当にマザーの言う通り、大規模な侵略戦争の道に足を踏み入れるべきなのか、それとも、何か他の手段があるのか。。

※使用Lora：Nijiarmor他

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